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2005年7月25日

効果的な英語トレーニング方法(多聴と精聴、多読と精読)

英語の勉強方法として私がぜひ勧めたいのは「多聴と精聴、多読と精読」である。これは、語学教育大手のアルクがヒアリングマラソンの勉強法として紹介しているもので、私が実践して非常に効果のあった方法である。

英語が上達しないと言って悩んでいる人のほとんどは、英語のインプット量が絶対的に足りない。まずインプットを増やすことだ。話したり書いたりする能力は、その基礎の上に成り立っている。そのために多聴と多読が必須だ。

では、闇雲にたくさん英語を聞いたり読んだりすればよいかというと、それはあまり効率的ではない。一日一回10分でよいから、精聴・精読の時間を取るべきだ。精聴・精読では、それこそ一字一句、どう言っているか何が書いてあるかをきちんと聞き取ったり意味を調べたりする。スポーツにたとえると、多聴・多読は走り止みや投げ込みで、精聴・精読はフォームをチェックするトレーニングだ。どちらか一方だけでは不十分である。

精聴の一つの方法は、会話を書き取る「ディクテーション」。前置詞一つ、冠詞一つも聞き逃さないように集中して聞き、書き取る練習方法だ。ネイティブスピーカーの英語は、単語と単語がつながって発音されたり、子音や母音の発音を省略したりといったことがごく普通に行われる。これを聞いて書き言葉に直すには、発音を聞き取る耳だけでなく、発音に関する知識や文法力、語彙力、それに文脈から意味や言葉を推測する力を総動員しなければならない。これを毎日続けると、リスニング力が格段に向上する。考えてみると、私たちが日本語で会話するときも、一字一句をきちんと聞き取っているわけではない。聞き取りづらい部分を「たぶんこういっているのだろう」と推測するなどして相手の言わんとすることを理解しているはずだ。

一方、読解力に関しては、英語の文章を日本語に翻訳することが精読になる。多読は、単語の意味が分からなくてもどんどん読み進め、全体としてどんなことが書いてあるかをおおむね把握できればよい。これに対して翻訳による精読では、日本語として読んで意味のある文章にするのだ。書いてあることがだいたい分かるということと、それを文章にできると言うことは、別次元の問題である。他の人が読んで理解できるまで日本語訳を整えるには、生半可な英文解釈力では無理だ。加えて、日本語表現力の訓練にもなるので一石二鳥だ。

ディクテーションは、あとで答え合わせができるように、英語のトランスクリプト付きCD教材を使うとよい。あるいは、ヒアリングマラソンのディクテーションのコーナーを本にまとめた「日本人は英語のここが聞き取れない」と「続 日本人は英語のここが聞き取れない」を使うのがいいだろう。

日本人は英語のここが聞き取れない―3週間でできる弱点克服トレーニング【CD1枚付き】

続 日本人は英語のここが聞き取れない - 1000時間ヒアリングマラソンのデータが明らかにする 週間で変わる実力強化トレ (2)

多読・精読は、手持ちの英語教材で対訳付きのものなら何でも使える。私のイチオシは海外のWebニュースだ。自分が興味ある分野、例えばテニスやメジャーリーグの記事を1日約5本読む。そしてそのうちの1本を日本語に翻訳する。これを毎日繰り返すのだ。自分が好きな分野だから読んでいて面白いし、書いてある内容や用語に馴染みがあるので文脈から意味を判断しやすい。対訳がなくても、自分の理解が正しいかどうか判断しやすいのだ。

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