タイムマネジメント
マネージャ職をやっていると、「忙しい、人を増やしてくれ」というメンバーの要求(不平不満)をしょっちゅう聞く。私も以前は現場の人間だったから、その気持ちはよく分かる。しかし、各自がパフォーマンスをさらに上げるように普段から努力し続けなければならないのも事実だ。努力しない社員にはそれ相応の待遇しか与えられないし、厳しい処置に出ざるを得ないこともあるというのが会社というところである。
さて、仕事のパフォーマンスを上げるうえで、仕事の優先度付けやタイムマネジメントがとても大事なことは言うまでもない。重要でない仕事に費やす時間をできるだけ減らし、大事な仕事により多くの時間を割り当て、締切までに十分な成果を出すことが求められる。
では、重要な仕事とそうでない仕事をどう区別するか。よくある間違いは、「この仕事は明日が締切だから優先度が高い」「これは来週が締切だから後回しでよい」と、仕事の期日(緊急度)だけで重要かどうかを判断することだ。実際には、緊急度と重要度は別の指標である。例えば、ビジネスマンの必須スキルとなりつつある英会話の勉強は非常に重要だが、さしあたって使う機会がないから緊急度はそれほどでもないという人がほとんどだろう。その結果、本当はやらなければいけないのに、つい後回しになってしまっているはずだ。また、上司が求める報告は、今日の夕方までにという風に緊急なことがしばしばだが、他の仕事と比べると実はさほど重要でないことが多い。しかし、面と向かって頼まれたものを断るわけにはいかないので、もっと大切な他の仕事を保留して取りかからざるを得ない。
重要で緊急な用件はもちろん最優先である。その次に優先すべきものは、緊急ではないが重要な用件だ。この中には、ほったらかしていると、そのうち重要・緊急になってしまうものがある。これを早めに片づけることで、業務全体の効率をあげ、しかもストレスを減らすことができる。重要・緊急の用件をたくさん抱えすぎると、どんなに仕事のできる人でも、いずれパンクしてしまう。
こういった優先度付けを行うには、まず自分の持っている仕事を洗い出して「見える」ようにすることが必要だ。次に、それを重要度と緊急度で分類して優先度を付け、どの用件をいつやるか計画を立てること。例えば、9時から9時半はメール処理、9時半から11時はユーザA社の技術問い合わせの検証と回答といった具合だ。計画せずに取りかかると、ついひとつの用件に没頭して、時間をいつまでも使ってしまいがちである。もし見込み以上に時間がかかったら、予定を立て直せばよい。大事なのは、だらだらと仕事せずに、メリハリを付けること。締切を設定して、それに向かって集中して仕事することだ。付け加えると、顧客打ち合わせなどが急に入って、どちらか一方を選択せざるを得ない状態になったとしても、なるべく当初の計画に近い日時で両方をこなすようにする「調整力」も、ビジネスマンに必要なスキルである。
以前、私のチームのメンバーに、毎日遅くまで残業しているのに、いつまでたっても仕事の成果が出ない者がいた。そのメンバーに日報を書かせたら、とたんに残業時間が減り、締切までに成果が上がるようになった。退社前に、その日の実績を時間割風にまとめ、翌日の予定を同じく時間割で書いてもらう。これだけだ。つまり、そのメンバーはだらだらと仕事をしていて、無駄に時間を使っていたわけだ。これを見えるようにしたことで、無駄を省くことができた。
私が自分でやってみて効果があったのは、イーウーマンの佐々木かをり氏が仕事術や手帳活用法の記事で書いている手法である。締切のある仕事が入ってきたら、いつやるかをその時点でスケジュールしてしまうのだ。直前になって慌てることがなくなり、余裕を持って準備できるようになった。例えば、1ヶ月後のセミナーで講演するには、今週の水曜にあらすじを決め、来週の火曜にプレゼン資料のアウトラインを作り、来週の木曜に図表やレイアウトを整えるという風に、あらかじめ自分のスケジュールをブッキングするわけだ。急用が入ったらスケジュールを立て直す。これをやる前は、他の仕事に忙殺されて手つかずのままになり、直前1週間で慌てて準備することがよくあった。
これを読んでいるあなたも、自分の仕事のやり方を一度見直して、もっと削れる部分がないかどうか、もっとうまいやり方がないかを考えてみるとよいだろう。タイムマネジメントの本を一冊読むと、いろいろなヒントが書いてある。書店のビジネス書コーナーで立ち読みするなどして、自分に合いそうな本を探してみるとよい。どれを読んだらいいか分からない人でシステムエンジニア(SE)を生業としている人なら、先日のエントリーで文例を引用した「SEを極める最強仕事術」を読むとよいだろう。タイムマネジメントだけでなく文章作成や交渉術など、知っていて損のない内容で、仕事のレベルをアップさせる手がかりがきっとあるはずだ。
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