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2005年8月25日

分かりやすい文を書くコツ(修飾語と被修飾語の配置)

頭に思い浮かんだことばから話したり書いたりするのは、しゃべったり書いたりするときに誰もが意識せずにやっていることだろう。しかし、すぐに言い換えができる話し言葉と違い、このような「思いつくまま文章」は読み手にとって分かりにくい。推敲して語順を入れ替えるべきだ。大原則は、修飾語と被修飾語をなるべく近づけることだ。

書き手は様々な情報を頭の中に巡らせていて、その中から「これ」と思ったものを最初に書く傾向がある。一方の読み手は最初、書き手が何を言わんとしているか分からない。書いてある文をなぞりながら、書き手の思考に追従していく。つまり、書き手は全体のイメージを最初から持っているのに対し、読み手は少しずつイメージを作り上げていく。書き手はこの違いを十分理解し、読み手がイメージを構築しやすいように、適切な順番で言葉を並べたり読点を打ったりしなければならない。

次の例文は、Webコラムの抜粋である。

(例文1)
CESでSymbianを搭載したSony Ericssonの「P900」を初めて使ってみたが、これまた物欲を刺激される端末だった。
(出典)シリコンバレー101「第69回なぜ欧米ではスマートフォンなのか?」

私がこの文を読んだとき、何か引っかかる感じがして、すっと頭に入ってこなかった。改善すべき点は「CESで」の位置だ。

文頭ら読んでいくと、「Symbianを搭載した場所がCESである」という意味に取ることもできる。もちろんCESが商品展示会であることや、Symbianがスマートフォン用OSであることを知っていれば、この理解が間違いであることはすぐに分かるのだが、多少でも引っかかる感じがあると、読み返したり考えたりという余計な手間がかかる。それが読み手にとってストレスになり、読みにくい、分かりにくいと感じるのである。

この文で「CESで」が係る先(修飾する語)は「見た」である。原文はこの二つが大きく離れている。また「CESで」は「搭載した」とも係る可能性のある語句である。この二点が、原文を分かりにくくしている。改善するには、「CESで」の位置を変えるか、読点を打つ。

(書き換え1)
Symbianを搭載したSony Ericssonの「P900」をCESで初めて使ってみたが、これまた物欲を刺激される端末だった。

(書き換え2)
CESで、Symbianを搭載したSony Ericssonの「P900」を初めて使ってみたが、これまた物欲を刺激される端末だった。

この文ほどではないが、コラム冒頭の一文も同じ構造であり、できれば書き換えたいところだ。

(例文2)
ウチには使わなくなったガジェットを投げ込んでおく箱がある。

「ウチには」が係る先は文末の「箱がある」である。修飾語と被修飾語がこれだけ離れているのはよろしくない。先の例文と同様に書き換えると、こうなる。

(書き換え3)
使わなくなったガジェットを投げ込んでおく箱がウチにはある。

(書き換え4)
ウチには、使わなくなったガジェットを投げ込んでおく箱がある。

この二つの例文は、場所を強調したいという意識が筆者にあったか、どこで何をしたかが最初に頭に浮かんだため、「CESで」「ウチには」が文の先頭に来たのだと推測できる。「どこで」を強調したいのであれば、それぞれの書き換え例の2番目が適している。

ちなみに、この文章を書いている私自身、修飾語と被修飾語がかなり離れることがよくある。たとえば、数段落前の「修飾語と被修飾語がこれだけ離れているのはよろしくない」は、最初「これだけ」で書き始めた。「大きく離れているのがまずい」と言いたかったがために、それを強調する「これだけ」ということばが最初に思い浮かび、それを書き下した。一文一文推敲する癖をつければ、書き下してすぐ、あるいは書きかけてから気がつくので、その場で対処できる。

修飾語と被修飾語をなるべく近くに配置するという原則を守れば、誤解されにくく分かりやすい文を書くことができるはずだ。

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