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2005年10月 1日

「インパクト倍増文章術」

「プレジデント」2005.10.17号は「書く技術」特集だ。樋口裕一氏による「『無視されないメール』の心理テクニック」や、「社長を出せ!」で有名になった川田茂雄の詫び状の書き方解説など、ビジネスライティングで大いに参考になる内容だ。

このうち、伊藤忠商事取締役会長の丹羽宇一郎氏によるトップ記事、「初公開! 丹羽宇一郎 インパクト倍増文章術」は、文章を書く7つのポイントがわかりやすくまとめられている。私の経験や考えを交えながら、7つのポイントをまとめよう。

いい文章を書くには、いい文章をたくさん読むこと。そもそも言葉というものは物真似から始まる。

たくさんインプットするのがアウトプットの大前提。多読と精読の記事で書いたように、英語の学習でも同じことが言える。あとで「キーワード」というポイントが出てくるが、たくさん読んだという蓄積があれば、いいキーワードを思いつきやすい。

ただし、インプットするものが偏っているとボキャブラリーや表現も偏るので注意。たとえばエンジニアはマニュアルやWebのサポート文書、ホワイトペーパーをよく読むため、書く文章がそれに似てくる(私の書く文章もそうかもしれない)。そこにちょっと気の利いた表現を入れれば、読者の印象に残る。そのためには、技術文書以外の本をたくさん読む必要がある。

日記でも本の感想でも何でもいいから毎日書いて、書くことに慣れる。「文章を書くぞ」という気負いがなくなり、素直ないい文章が書けるようになる。

たくさん書けば自動的にうまくなるわけではないが、とにかく書く習慣をつける必要があるのは間違いない。たくさん書きながら、自分に足りないものが何かを考えることが必要だろう。

講演やプレゼンテーションも同じで、いいプレゼンテーションをするには、場数を踏まなければならない。スポーツにたとえると、ボールの打ち方を習ったあとは、自分で実際にボールをたくさん打ち、自分の打ったボールがどんなふうに飛んでいったかを観察して修正することで、だんだんフォームができていく。この蓄積があってこそ、コーチのアドバイスが役に立つ。

簡潔に絞って書く。三つにまとめる。知っていることを全部書くようではだめ。

マジックナンバーの「3」はあまりにも有名なので、いまさら説明するまでもないだろう。2つでは不足、4つでは多い。

調べたことや知っていることを全部書きたいという気持ちはわかるが、それをやると、本当に伝えたいことが不明確になってしまう。あるいは枝葉末節の部分を突っ込まれて、話がどんどんそれていってしまうことになる。文章に限らず、商談やトラブル対応でも同じことが言える。

書いた内容を端的に表現できる、印象に残るようなキーワードを入れる。このキーワードが手がかりになって、筆者の書きたかったことが読者の脳裏に甦ってくる。講演でも同じ。

人間はあまりたくさんのことを覚えられないが、きっかけがあれば、それをもとに記憶をたどることができる。印象的なキーワードを入れるのは非常に効果的だろう。ただし、キーワードに懲りすぎて、キーワードは覚えているけど、結局何が言いたかったか覚えてないと言われるようではまずい。ここで試されるのは、いいたい内容をひと言でズバリと表現する「要約力」「言い換え力」だ。どちらも、社会人にとって大切な能力と齋藤孝氏が言っているものである。

ほかの部分は私にとって既知のことばかりだったのだが、このポイントは新鮮で収穫だった。

相手の立場に立って話の内容を考える。読み手が変われば、用語の使い方や項目が違ってくるはず。

これを「読者分析」と呼ぼう。伝えたいメッセージが同じでも、伝える相手によって表現のしかたが異なる。用語や項目はもちろん、文章やプレゼンテーションの構成も相手によって変える必要がある。

ビジネス文書では「結論を先に」という構成が基本である。しかし、自分の意見に明らかに反対の人を説得する文書でこれをやると、最初の段落で感情を害して、読むのをやめるか、最後まで読んだとしてもいい印象を持ってくれない。まず相手が共感できる内容で書き始め、自分の意見を補強する材料を使いつつ論を進める構成でなければならない。「外堀を埋める」という方法だ。

意見の裏付けとなるデータを入れる。数字は大雑把でよい。主観である意見と客観的なデータを区別する。

具体的であればあるほど意見は説得力を持つ。そのために裏付けデータが必須だ。本社へ出す要望を「この機能をソフトに盛り込めば、日本市場でたくさん売れるようになる」と書いても、開発責任者を動かすことはできない。具体的に何本売れて、いくらの売り上げになるかを書くのが鉄則。導出の根拠がきちんとしていて現実的な数字であれば十分だ。

「さおだけ屋はなぜ潰れないか?」に出てくるエピソードが参考になる。山田真哉氏がミステリー小説「女子大生会計士の事件簿」を出版社に最初に持ち込んだとき、「意外と読者は多いはずなんです」と言っても相手にされなかった。そこで、「会計士・税理士試験や簿記検定の受検者から推定すると、会計人口は300万人いる。そのうちの0.1%の人に受け入れられれば3000部は売れます」と言うと出版が決まった。

書き出しを工夫し、読み手の興味を引く。具体的な話がよい。

いわゆる「つかみはオッケー」である。読もうと思って自腹を切った本ならいざ知らず、一方的に送りつけられるメールを全部読むほどビジネスマンは暇ではない。まず「書き出し」で相手の心をつかみ、先を読もうと思わせる必要がある。メールなら件名だ。そんなに凝る必要はない。「~~はなぜなのだろうか?」と疑問形で始めるのもひとつのテクニックだ。もちろん相手が興味を示す疑問でなければ効果はない。そのために読者分析が重要である。

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