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2005年10月11日

日本人の英語力の実態

海外の上司に日本人の英語スキルレベルを伝えるために、日本人一般の英語力を調べたことがある。参考にしたのは、全世界でおこなわれている英語力テストTOEFLの統計データだ。TOEFLを開発したETSが公開している2003~2004年の国別ランキングはこうだ。

Computer Based Test(CBT):148カ国中140位
Paper-Based Test:105カ国中100位

TOEFLは、海外留学を目指している人が受験するもののはず。留学と関係なく、自分の実力を試すためだけに受験している人が平均点を下げているとしても、ほぼ最下位というのはどうしたことだろうか。

英語の勉強が不足しているかというと、そんなことはない。矢野経済研究所の「教育白書」によると、英会話教育市場は2002年度で6700億円だ。2003年度は市場の定義を変更したため数字が下がっているが、それでも3750億円だ。2003年度の数字には、ラジオやテレビの英会話講座テキストや、書店で売っている英会話の本などの独習教材が含まれない。これらを加味すると、日本全体で1年間に4000億円以上のお金が英会話の勉強に費やされている。これだけ投資しているのに全世界でほぼ最下位とは、寂しくなってくる。

もちろんテストの点数が全てではない。TOEICの点数が悪いのに、実務で英語をばりばり使い、海外の人とタフな交渉をこなしている人を何人も知っている。しかしその一方で、テストで点数が取れる英語力は、文法やボキャブラリーの蓄積が基礎となっており、メールやレポートなどの書き言葉で決定的な差がつく。また、基礎がしっかりしていれば、ヒアリングやスピーキングの力も急速に伸びる。私がTOEICのスコアを930まで伸ばせたのは、まさに文法などの基礎ができていたからだ。

テストの点数を上げる努力は、決して無駄にならない。学習の動機付けとして目標スコアを設定するのもいいだろう。もちろん、テストという手段が目的化しないよう注意する必要はある。そして、「仕事で使える英語」を身につけるには、受験対策と別の勉強が必要だ。スポーツにたとえると、受験勉強はを基礎体力をつけるトレーニングで、仕事で使える英語は種目ごとのテクニックである。

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