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2005年11月の28件の記事

2005年11月28日

英語コミュニケーションの基礎は日本語力

英語でうまくコミュニケーションするためには、まず日本語の力を2つの点で鍛える必要がある。1つは、伝えたいことをきちんと日本語で構築できるようにすること。もう1つは、別の日本語表現を即座に引き出せる「言い換え力」を身につけることだ。

英語がいくら流暢に話せても、内容が論理的でなかったりあいまいだったりすると、伝えたいことは伝わらない。キーメッセージが明確か、キーメッセージを裏付ける材料がそろっているか、論理的に話を構築できているかなどだ。猪口邦子氏がNHKの「英語でしゃべらナイト」(2004年5月31日)に出演したとき、次のようなことを言っていた。


  • 英語で交渉事をする時の大切なポイントはpower of argument(立論の力)である。論理立て(立論)をしっかりすること。

  • まず日本語で考え抜く。日本語でできないことは英語でもできない。

私たち日本人は日本語を母語とし、日本語で思考している。英語のメールを書いたり英語で会話したりしているときでも、頭の中は日本語で動いている。言いたいことを日本語できちんと表現できるようにするのが、英語に限らず全てのコミュニケーションの基本だ。

ちなみに、英語で会話しているときは英語で思考しているという人をテレビや本で見かけるが、そのレベルに達するのは容易ではない。簡単な日常会話でそれができても、ビジネスレベルの複雑な内容を英語で思考して会話できるようになるには、相当な訓練と英語漬けの環境が必要だろう。私はそのレベルに全然達していないので、想像することしかできないが。

2つめの「言い換え力」は、言いたいことが明確になのに、それを表現する英語が出てこないときに役立つ。自分の英語の語彙にあることばで日本語の方を言い換えるのだ。単語ひとつの言い換えにとどまらない。ひとつのセンテンスを英語でうまく表現できないときは、日本語のセンテンス自体を作りかえてしまう。私の英語力のかなりの部分を補っているのが、この言い換え力だ。

言い換え力は、齋藤孝氏がコミュニケーションの重要な技のひとつとして挙げているもので、相手の言ったことを別のことばに自分で置き換える力だ。抽象的な内容を具体的に言い換える、あるいは具体的なことを抽象的な概念で言い換える。ユーザから要件を聞き出す場合、「つまり、それは~~~ということですね」と、相手の言ったことを自分のことばで言い換えて理解を確かめるのがそのいい例だ。抽象と具体の往復運動がうまくできると会話の技術が向上すると齋藤氏は書いている(参考文献)。英語の会話では、この往復運動や言い換えを自分の頭の中でやるわけだ。

英語の基本的なトレーニングはもちろん欠かせない。しかし同時に日本語力を磨かなければ、せっかく身につけた英語力も宝の持ち腐れになってしまう。もうすぐ小学校で英語を教えるようになるらしいが、国語をおろそかにしないで欲しいものだ。ほかの科目でも、教科書や試験問題を読んで理解するために国語の力が必要である。子どものころ、国語の授業はあまり好きではなかったが、いまになってその重要性を痛感している。

(参考文献)
齋藤孝「コミュニケーション力」(岩波書店)

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2005年11月27日

オークリー M FRAME

テニスをするときはいつもスポーツ用サングラス(スポーツグラス)をかけている。目にゴミが入らないようにしたり、まぶしさを和らげたりするのが主な目的。また、ボールが眼の近くに当たったことがこれまでに数回あり、そういったときに備えて目の保護も兼ねている。

ここ10年くらい、SWANS(山本光学)のGullwingを愛用している。薄目のスモークレンズ、クリアレンズ、イエローレンズの3つを、天候や日差しの状況に応じて使い分ける。日差しが強いときはスモーク、曇天はイエロー。クリアレンズは夜間用なのだが、ナイターでテニスすることがなくなったため、最近は出番がない。

さて、「テニスジャーナル」の10月号と12月号にスポーツグラスの記事が出ていた。記事のタイトルが「『スポーツグラス』をかけるとパフォーマンスが向上するという噂を検証する!」そして「『スポーツグラス』をかけるとパフォーマンスが向上するという噂は本当だった!」。上野のスポーツグラス専門店「eau de vie(オードビー)」とのタイアップ記事のようだ。

スポーツグラスには、紫外線をカットするほかに、対象物の視認性を高めるという重要な目的がある。光の情報量を低下させてしまう濃い色のレンズは逆効果。紫外線防止加工がきちんと施された薄い色のレンズを選ぶべきだとしている。記事では、オレンジ系・ブラウン系の「コントラスト系」と呼ばれるレンズを薦めている。

こういう記事を読んでいたところに、オークリー製品を安価に手に入れる機会が巡ってきた。スポーツグラスといえばオークリー。10年以上前にオークリーの「Eye Shades」と「Razor Blades」というモデルを使っていた。どちらもグレッグ=レモンがツール=ド=フランスを制覇したころに使用していたモデルだ。Eye Shadesはスキー場で紛失し、Razor Bladesはフレームが壊れてしまった。買い換えようとしたころの「Mambo」は2万円超の値段で手が出ず、しかたなくSWANSに乗り換えたという経緯がある。今回はMamboの後継機種の「M FRAME」が1万5000円程度で手にはいるという。この機会を逃す手はない。事前にインターネットで調べた結果、VR28というレンズがよさそうだということがわかった。先の記事でいうところの「コントラスト系」レンズだ。

20051125mframe
さっそくテニススクールで使ってみた。ふれこみ通り、コントラストがはっきりしてボールが見やすい。スモークレンズほど暗くならないのに、眩しさもけっこう抑えてくれるから、太陽に正対する側でのサービスも苦にならない。クルマの運転時にかけると、運転しやすくなった。それまではレイバンのスモークレンズをかけていて、視界が暗くなるのが気になっていた。オークリーのVR28は、様々な状況で使える万能レンズといえる。けっして安くはないが、いい買い物をした。

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2005年11月26日

英語の冠詞と日本語の助詞

英語の冠詞の使い分けは、日本人の英語学習者にとって最難関のひとつだ。英語の文法解説書や参考書を読んでも、わかったようでわからない。いざ使うときになるとどちらを使えばいいのか迷う。

養老孟司氏の「バカの壁」に、英語の定冠詞と日本語の助詞が同じ役割を演じているという部分があり、興味深く読んだ。簡単にまとめると、以下のような内容だ。

「an apple」は共通概念としてのリンゴであり、色も形も大きさも決まっていない。何も決まっていないから不定冠詞がつく。「the apple」はおのおのが異なる実体としてのリンゴを指す。特定の色合いや形、そして大きさを持っている。

日本語は、「は」と「が」の助詞の使い分けでこの2つを違いを表現し分けている。「おじいさんとおばあさんがおりました。おじいさんは山へ芝刈りに行き・・・」という文を考えると、最初の「おじいさんとおばあさんが」は共通概念の「おじいさんとおばあさん」を表している。これにより読者は自分の頭の中におじいさんとおばあさんのイメージを描く。次の「おじいさんは」は、読者が思い描いた特定の実体である「おじいさん」を表している。

日本語の助詞「は」と「が」の使い分けは、大野晋氏の「日本語練習帳」でも取り上げられている。

「は」には、「問題(Topic)を設定して下にその答えが来ると予約する」という働きがある。「話題を前から頭の中にあることとしてそこに置き、それについての新しい情報が下に来るぞという約束をする」のである。「花は咲いていた」は、「花」という情報がすでに頭の中にあり、それに対して「咲いていた」という新情報を付け加えている。これは定冠詞の働きに対応していると考えることができる。

「が」には、「現象文を作る」という働きがあると大野氏は書いている。「が」の上の言葉は、新しい現象を表している。「花が咲いていた」は、気がついてみたら「花が・・・」という現象が生じていたという新発見について述べているというのが大野氏の説明である。これは不定冠詞と対になる用法だろう。

東京大学の酒井邦嘉氏によると、人間の頭の中には普遍的な文法があり、個別の言語はパラメータの違いにすぎないという(参考記事)。英語では冠詞を使い分け、いっぽう日本語では助詞を使い分けるというやり方は、パラメータの違いの一例といえるそうだ。したがって、翻訳という行為は、単に言葉を置き換えるだけではだめだ。その背後にある普遍的な文法に基づいた意味をきちんと理解して咀嚼し、正しいパラメータに書き換えるサ行が必要である。

参考記事
脳は文法を知っている
http://www.mayq.net/sakai.html

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2005年11月25日

わかりやすい文を書くコツ(使役と受身)

製品パンフレットやマニュアルを見ると、「~させます」「~させることができます」という使役表現がとても多くて気になる。例を2つ挙げよう。

メンバー共通の顧客データベースのマスターにもなる共有アドレス帳です。IP 電話を起動させてインターネット電話をかけられるなど便利機能が充実。
「サイボウズ Office 6」
http://office.cybozu.co.jp/cb6/seihin/kihon/index.html
大切なデータをインターネットディスクから取りだして、すぐに復旧させることができます
「ジャストシステム インターネットディスク」
http://internetdisk.jp/guide/

それぞれ、「IP電話を起動して」「復旧できます」と書いても全く問題ないし、その方がより強く意味が伝わる。この2つはあくまで一例であって、同じような使役表現は非常に多い。

使役表現が多いのは、言い切る勇気の欠如が原因ではないだろうか。「~します」「~できます」と言い切ると、反論されそうで怖い。あるいは何事にも例外があるから、言い切ることができない。要するに「逃げの姿勢」が裏にあるように思う。

広辞苑によると、「させる」には放任・許容という意味もある。書き手が使役のつもりで使っても、読む人はその背後に放任・許容のニュアンスを感じ取り、無責任であいまいな印象を受けるのだろう。

同じように、受身表現も多く見かける。「SEを極める最強仕事術」は、チェックポイントのひとつに受身表現を挙げている。例として「Select文を入力すると、データが検索される」を、「Select文を入力すると、データを検索できる」と書き換えるべきだとしている。この例文のように文全体が受動態になっているもののほか、名詞を修飾する受身表現も気をつけたい。

  • 完全に自動化されたシステム リカバリ
  • パーティションの設定がなされたLotusサーバーやLotusクラスタリングをサポート
  • 一元化されたバックアップ オペレーション
「VERITAS NetBackup 6.0」(PDF)
http://eval.veritas.com/ja/JP/downloads/pro/nbu6_bro.pdf

これらは、能動態を使って次のように書き換えると印象が強くなる。


  • システムリカバリを完全に自動化

  • パーティションを設定したLotusサーバーやLotusクラスタリングをサポート

  • バックアップオペレーションを一元化

受身は動作の主体があいまいになる。これも一種の「逃げの表現」である。また、英語のパンフレットを翻訳するときに、学校で習ったやり方で機械的に日本語に置き換えると、上記のような日本語になる。つまり、過去分詞で修飾した「automated recover」を、そのままの語順で訳すと「自動化されたリカバリ」と受身表現の形容詞ができあがる。

使役も受身も、文章にメリハリをつけたり変化をつけたりするために、使うべきところには使わなければならない。大切なのは、「させる」(使役)「される」(受身)をその部分で使うのが適当か、文章全体で使いすぎていないかなど、十分に推敲することだ。

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2005年11月24日

アメリカの「参加」と日本の「所属」

一橋大学大学院商学研究科教授の伊丹敬之が、プレジデント」2005.7.4号の「『市場原理主義』が日本で根づかないもう一つの理由」という記事で興味深い分析をしている。

アメリカは、「参加」することが基本的なイデオロギーの社会である。いっぽう日本は、「所属」することが基本であると伊丹氏は書いている。

アメリカでは企業はあくまで「参加」するものであり、その参加が報われなければ企業から退出すればいい、というイデオロギーである。

その結果、企業の従業員は、参加している企業に不満があったり、よりいいオファーを出す企業があれば、現在の企業を退出して新しい企業に参加する。株主は、株を買うことで企業に参加しているので、よりよい経済的報酬を渡してくれる買収者が現れれば、株を譲り渡してその企業から退出する。

アメリカの俳優はオーディションによって選ばれて公演に参加するが、日本の俳優は劇団に所属しているというおもしろい例も示している。

こういったイデオロギーの違いがどこから生まれてきたかというと、その重要な要因のひとつが国の成り立ちである。

アメリカは、「強く意識を持って」「古い社会や圧政から逃れるために」、異なった人々が参加してつくられた国である。(中略)建国の時代からアメリカは「参加」の国であり、現在でも世界中からの移民がアメリカに大量に流れ込んで「参加」の国であり続けている。アメリカ人にとっては、もっとも基礎的な組織である国自体が、「参加」の対象なのである。
これに対して日本は、
とくに強い、「国家建設」の意図があったとは思いにくい。(中略)大半の日本人にとって、日本という国は生まれたときに「所属」していたものなのである。生まれた地域社会への所属も自然に生まれる。そして働くことになる企業への所属感覚も、多くの日本人には自分で意識しないうちに、自然に生まれているのであろう。

と伊丹氏は書いている。ひとりの日本人として共感できる分析だ。

日本人の「所属」意識は、いわゆる「村社会」を支えている意識ともいえるだろう。「村」は地域社会・企業・部課など様々な形態をとるが、日本人はいろいろな「村」に所属していることがもっとも安心でき、そこから抜け出すことに抵抗感を感じる。何か不満がある場合は、その「村」に所属したまま、責任者を告発したり、よりよい環境に改善したりという行動に出る。

企業に入社するときに英語で「join」という言葉を使うが、これは「参加」イデオロギーを端的に表しているように思う。日本語の「会社に入る」は、その企業の中に入って所属する意識が現れている。

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2005年11月23日

コピーワンス論争

コピーワンスで悩んでいるところに、放送・通信関係のコンサルタント西正氏と映像系エンジニア/アナリストの小寺信良氏が書いた記事が目に入った。どちらもITmediaに掲載されたもので、内容が対照的なのが興味深い。私の想像だが、小寺氏の記事は、西氏への反論として書いたものではないだろうか。

「コピーワンス見直し」で留意すべきこと(西正)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0511/10/news062.html

「コピーワンス」大そもそも論(小寺信良)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0511/21/news003.html

西氏は、コピーワンスは著作権保護のためであり、これを忘れてはならないという立場。これに対して小寺氏は、コピーワンスが著作権保護のためというのは大義名分であり、本質は企業利益を守るためだと主張している。

著作者の権利を保護するべしという西氏の主張はもっともだ。しかし、いきすぎた制限はかえって消費者の反発をうけ、コンテンツ制作者や配布者の不利益となるだろう。

西氏は、

あるいは好き勝手に編集して、好きなタレントのシーンばかりを集めたって構わないではないかという考え方が発想のベースにあるとすると、結果として優良なコンテンツが出てこないことになり、それこそ本末転倒な話になる。

と書いているが、そんなことはない。なぜならラジオからテレビまで、消費者が好き勝手に編集できる状態が数十年も続いているのに、優良なコンテンツはどんどん出てきている。さらに、消費者の好みは千差万別。どんなに優良なコンテンツでも、自分好みに編集したいという欲求は永遠になくならない。さらに、優良なコンテンツであればこそ、編集してでも残しておきたいと考えるはずだ。西氏は何か勘違いしているのではないだろうか。筆足らずかもしれない。

消費者がコンテンツを編集するのは、番組の前後にある余分な解説やCMをカットしたり、個人的な好みにあったコンテンツをまとめたりしたいからだ。そういった編集行為は著作隣接権に抵触するが、個人の楽しみとしてやっているぶんには問題ないだろう。

小寺氏は、CGアーチストというコンテンツ著作者でもある。コンテンツがコピーフリーだと利益を損なう立場にもかかわらず、次のように書いている。

映画でも特許でも、知財ならなんでもそうなのだが、多く利用されなければ、儲からないのだ。 (中略) 1つの漏れなく10個売るのと、1000個ぐらい盗まれるが10億個売れるのと、どちらが資本主義社会としてマシだろう。

実に共感できる意見だ。

ところで、うちにある液晶テレビとCATVセットトップボックスには、装置個体を識別する「B-CASカード」が入っている。デジタル放送を視聴するのに必須のカードなのだが、実はこれを発行しているのが1私企業なのだそうだ。これも含め、どういった企業や団体がデジタル放送やコピーワンスの制度や運用に関わってきたかを解説している小寺氏の記事は、非常におもしろかった。

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2005年11月22日

ファイルをすばやく選択する方法

マイコンピュータやエクスプローラをすばやく開く方法を紹介したので、次は目的のファイルをすばやく選択する方法だ。

たいていの人は、縦横のスクロールバーを使って目的のファイルをウインドウ内に表示し、マウスカーソルを位置づけてファイルを選択しているだろう。それでもいいのだが、最近は1400×1200などの高解像度が普通になってきた。アイコンや文字が小さくなって目が疲れるだけでなく、マウスカーソルの操作にも神経を使う。微妙なマウス操作は右手の疲れや腱鞘炎の元だ。

私はキーボード操作だけでファイルを選択している。やり方は簡単。目的のファイル名もしくはその一部をタイプすればよい。

ハードディスクを2パーティションに分割し、システムをCドライブに、データをDドライブに入れ、それぞれに「C」「D」というドライブ名を付ける。こうしておけば、マイコンピュータを開いてDキーを押すだけでDドライブを選択した状態になる。続けてEnterキーを押せばDドライブの中身が表示でき、さらに「Temp」とタイプすれば、DドライブのTempディレクトリを選択できる。日本語のファイル名でもOKだ。IMEをオンにして、ファイル名を入力・かな漢字変換すればよい。

Tで始まるディレクトリやファイルが1つしかない場合は、Tキーを1回押すだけで十分だ。Tで始まるファイルやディレクトリが複数ある場合は、ファイル名をタイプする代わりに、Tを数回押してもよい。押すたびに次のファイルを選択した状態になる。

マイコンピュータにショートカットCtrl+Alt+Mを割り当てておくと、Tempディレクトリを選択するのに要するのはキーボード操作3回だけ。所要時間は1秒程度だ。マウス操作に比べて格段に速いし、マウスカーソルを位置づける微妙な操作も不要。すばやく確実に目的のファイルを選択できる。他の人と画面を見ながら操作していると、「速くて何をやっているのかわからない」とよく言われる。

ファイルを選択したり開いたりするのはパソコン操作の基本であり、1日のうちに何回も行っている操作だ。これをキーボード操作だけででできるようになれば、腕の疲れも少なくなり、しかも時間を節約できるだろう。

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2005年11月21日

アプリをすばやく起動するショートカットキー

PCの中のフォルダを開くとき、ほとんどの人は次の3つのうちのどれかのやり方だろう。


  1. デスクトップのマイコンピュータをダブルクリックで開く

  2. スタートメニューからエクスプローラを起動

  3. エクスプローラのショートカットをデスクトップに置き、それをダブルクリックで開く

これらのやり方の弱点は、マウス操作が必要なので手間がかかることだ。加えて、(1)と(3)はデスクトップを表示させるという準備操作が必要だ。Wordで文章を編集していたりIEでWebを閲覧したりしている場合は、いったんウインドウを横にずらしてマイコンピュータアイコンを表示させるか、クイック起動ツールバーやタスクバー右クリックで「デスクトップを表示」コマンドを実行しなければならない。

キー操作1回でマイコンピュータやエクスプローラを開く方法がある。ショートカットキーを使うのだ。手順は次の通り。


  1. マイコンピュータあるいはエクスプローラのショートカットアイコンをデスクトップに作る。マイコンピュータは、アイコンをデスクトップにドラッグしてShiftキーを押しながらドロップすればよい。エクスプローラはスタートメニューで右クリックし、「送る」→「デスクトップ(ショートカットを作成)」を選ぶ。
  2. ショートカットアイコンを右クリックし、プロパティ画面を表示する。
  3. 「ショートカット」タブの「ショートカットキー」にカーソルを位置づけ、適当な英数字キーを入力する。自動的にCtrl + Altが付加される。
  4. 「プロパティ」画面を閉じる。

これで終わりだ。デスクトップがどんな状態になっていても、Ctrl + Alt + 英数字キーを同時押下するとマイコンピュータやエクスプローラが起動する。私はCtrl + Alt + Mをマイコンピュータに割り当てている。

注意点は、ほかのアプリケーションもCtrl + Alt + 英数字キーのショートカットキーを使っていることだ。たとえばWordはCtrl + Alt + Mに「コメント挿入」を割り当てている。マイコンピュータに同じショートカットキーを割り当てると、これが使えなくなる。どちらを取るかを十分考えて割り当てる必要がある。

よく使うアプリケーションをショートカットキーで起動できるようにしておくと、キーボードから手を動かさずに作業ができて快適だ。私はマイコンピュータのほか、秀丸エディタをショートカットキーCtrl + Alt + Hで起動できるようにしている。秀丸エディタは、ショートカットキーが設定項目のひとつであり、インストール時に設定できる。

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2005年11月20日

欧米人が日本をイメージする音楽

男子テニスツアーのダイジェストを伝える「ATP TENNIS SHOW」(GAORA)は、CATVを契約する強い動機付けになった番組だ。世界のどこかで毎週開催している大会のハイライトや選手のインタビュー、ツアーの裏側などを紹介している。

10月のジャパン=オープンも当然取り上げられた。選手が開催地を観光するというのがひとつの定番で、このときはタイのトップ選手パラドン=スリチャパンが築地市場を訪ねて買い物。彼が自転車(実用車)に乗って市場の中を走る姿は、妙にマッチしていた。

スリチャパンの築地訪問の前に、東京を簡単に紹介する映像が流れたのだが、そのBGMがなぜか中国の音楽。欧米人にとって日本と中国は大差ないのだろうけど、せめて「さくら」や「春の海」あたりを使って欲しかった。

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2005年11月19日

CPRM対応DVDで悩む

いま住んでいるマンションは送電線の影響で難視聴地域らしく、地上波テレビもCATVで受信している。以前は契約しなくてもGAORAやディスカバリーチャンネルを視聴できていたのだが、ある時からスクランブルがかかるようになった。CATV会社に問い合わせると、機械の都合でスクランブルがかかっていなかったとのこと。これが技術的な問題なのか、それとも設定ミスなのかはわからないが、いずれにせよ視聴するためには契約しなければならない。しかたなく月4000円弱を支払うことにした。

契約すると、視聴可能なチャンネルが格段に増えた。「サインはV」などの昔のドラマから、「Dr.スランプ」といったアニメまで、おもしろそうな番組が目白押し。地上波デジタル放送やハイビジョン放送も受信できる。メジャーリーグ中継をBSアナログとハイビジョンで見比べると、その差は歴然。BSアナログはユニフォームの背番号や名前の文字がぼけ気味なのに、ハイビジョンだとくっきり。月4000円の価値があるかどうかの判断は人によって異なると思うが、私は契約して正解だと思った(というか、思うことにしている)。

めぼしいものは片っ端からDVDレコーダに録画している。しかし見るのが追いつかず、たまる一方だ。DVDにダビングしてハードディスクを空けようとしたところで問題が発生。CATVの番組はデジタル配信であり、CPRMで保護されているコピーワンスのコンテンツだ。したがって、ダビングはハードディスクからDVD-RAMへの一方向のみに制限される。

DVD-RAMメディアは少々値が張る。DVD-Rなら太陽誘電製でも1枚100円強(アマゾンの価格、以下同様)。DVD-RAMは300円強だ。最近出始めたCPRM対応のDVD-Rは1枚200円程度だが、残念ながら私が持っているDVDレコーダー、パナソニックDMR-E87Hで使えないことが判明(注1)

さらに、DVD-RAMにダビング(移動)したものをPCで見られるかどうかがもうひとつの問題だ。ドライブがDVD-RAM対応であることはもちろん、ドライブと再生ソフトの両方がCPRMに対応していなければならない。私のThinkPad T42はDVDマルチドライブ付属モデルで、WinDVD 5がプリインストールされている。まず確実なのは、WinDVDをアップグレードしなければいけないこと。CPRM対応はWinDVD 6からだ。

問題は、付属のDVDドライブがCPRM対応かどうかだ。デバイスマネージャで見ると、松下のUJ-812というドライブを使っているのがわかる。このドライブの仕様やCPRM対応かどうかをネットで調べているが、はっきりしない。富士通LOOXが同じドライブを搭載していてCPRM対応コンテンツを再生できたという体験談を見つけた。その一方で、UJ-812のファームウェアが途中でCPRM対応のためにアップデートされた形跡もある。最終的にはWinDVDをアップグレードしてテストしてみるしかなさそうだ。

テレビはまもなく地上波デジタル放送へ移行する。総務省はコピーワンスの見直しをおこなっていて、年内に結論を出すらしい(注2)。もう少し使い勝手のよい方法に改善してもらいたいものだ。

(注1)
パナソニックのサポート情報
http://panasonic.jp/support/info/dvd_r/dvd_r_cprm.html

(注2)
デジタル放送の「コピーワンス」が運用見直しへ(AV Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050729/soumu1.htm

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2005年11月18日

レビューでの「社会的手抜き」を防止

システムの仕様書にとどまらず、社外に提供するホワイトペーパーや技術文書でもレビューは必須だ。チーム全体にメールで送ってレビューするのが私のこれまでのやり方だったが、少々手直しする必要があると思っている。理由の1つは、チームメンバー全員が同じ観点でチェックするのは効率が悪いということ。もう1つはレビューする人の責任感の問題だ。

レビューには様々な観点が求められる。スペルや「てにをは」などの基本的なチェックから、記述内容が正しいかどうかの技術的なチェック、そして文章全体がわかりやすい構成かどうかのチェックなどだ。レビューする人が何人かいるなら、観点を分けてチェックした方が効率的だろう。

レビューする人間が多いと、「私は忙しいからレビューする暇がないけど、きっと誰かがやってくれるだろう」という考えに陥りやすい。これを「社会的手抜き」という(参考記事)。会議の参加者が多いほど意見が出にくくなるのも同じ原理だ。その結果、締め切り日になったのに誰もチェックしていないということが起こる。執筆者とレビュー者をペアにして2名でやれば、手抜きのおそれはなくなる。ただし、レビュー者の負担が大きくなるので、上で述べたように観点を分担するというやり方もあわせて考えて、バランスを取るようにすればいいだろう。

レビュー以前に、執筆者が書いた原稿の品質が十分高くなければいけない。レビューで間違いを見つけてもらおうと安易に考えて、とりあえず書き上げた原稿をレビューに回すのはもってのほか。チーム全体の生産性を落とすことになる。執筆者が十分推敲しているというのが基本で、さらに執筆者と別の視点でチェックするのがレビューの本来のあり方だ。

(参考記事)
なぜか場が湿る「集団思考のワナ」(齋藤勇、「プレジデント」2005.11.14)

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2005年11月17日

講演時間の注意点

講演は持ち時間が決まっている。事前に主催者から伝えられ、その時間内で終わらせるようにプレゼンテーションを構成し、話をするわけだ。ところが意外と守られていないのが開始時刻だ。

要注意なのは、複数のセッションがあるセミナーでのトップバッター。たとえば13時開始のセミナーで、13:00~14:00の1時間枠をもらったとしよう。しかし実際には、13:00から主催者の挨拶やトイレ・喫煙場所の案内や、携帯電話をマナーモードにしてくださいというお願いがあり、5分~10分があっという間に経ってしまう。参加者の入場がもたつくケースもある。

開始が遅れたぶん終了時刻も遅らせることができるかというと、そういうわけにもいかない。その後のセッションの開始時刻が決まっていて、いわゆる「ケツカッチン」の状態だからだ。1時間が自分の権利だと思っても、聴衆は時間割を見ながら、まだ終わらないかとそわそわし始める。やむを得ず、1時間のつもりで用意したプレゼンテーションを50分かそこらで終わらせなければいけなくなってしまう。

セミナーの主催者がこういう事情を考慮して時間割を作るべきなのだが、数多くのセミナーを経験した人や会社でも、意外と見落としているようだ。先日参加した大手出版社主催のセミナーでもそうだった。開始が11:00ちょうどなのに、挨拶やらなにやらで時間が費やされ、トップバッターが登壇したのは11:10ころだった。

講演者側でとれる対策は、主催者が時間割を送ってきたとき、挨拶やお願いごとの時間を見込んでいるかどうかを確認することだ。見込んでいなければ、その分を含んで時間割を作り直すように依頼するか、自分のセッションを短めにするなどの準備が必要だ。

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2005年11月16日

The Complete Bushisms

アメリカのジャーナリスト、Jacob Weisbergが運営している「The Complete Bushism」は、ジョージ=W=ブッシュ大統領の珍妙な発言を集めたサイトだ。このサイトのことは、マーク=ピーターセンの著書「英語の壁」で知った。いくつか引用しよう。


  • "They misunderestimated me." 「misunderstand」と「underestimate」がごっちゃになってしまっているらしい。

  • "I know the human being and fish can coexist peacefully." 人類と魚の平和共存とは何のことだろう。


そのほかに、「英語の壁」は次のような爆笑もののブッシュ発言も紹介している。

  • ウェールズ出身の15歳の歌手シャルロット=チャーチルに向かって「So, what state is Wales in?」

  • ブレア首相との会談で「The problem with the French is that they don't have a word for 'entrepreneur'.」。「entrepreneur」はフランス語からの外来語だ。


ニュースを見ていたら、日米首脳会談で来日したブッシュ大統領の車に向かって子どもたちが歓声を上げて手を振っていた。彼らにブッシュ語録を教えるとどういう反応を示すだろうか。

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2005年11月15日

I'm Yamada Taro. - 日本人の氏名表記

メモを整理していたら、2000年6月10日の「天声人語」のコピーが出てきた。日本人の名前をローマ字で書くときに「姓-名」で書くか「名-姓」で書くかというテーマで、次のような書き出しで始まる。

日本人の姓名をローマ字で書くとき、たいていは「YOSHIRO MORI」のように「名-姓」の順にする。これを改め「姓-名」の順で表記することにしたい。国語審議会の委員会が、そんな提案をした。賛成だ。

私も「姓-名」派だ。英文メールの署名も「姓-名」の順で書いている。ちなみに、「姓-名」表記は、日本のほか「中国、朝鮮、ベトナム、カンボジア、チベットなどアジアの一部と、ハンガリーくらいに限られる」そうだ。

「天声人語」によると、明治初期は「姓-名」と「名-姓」が混在していたが、明治半ばから「名-姓」が普通になっていった。欧米と同じ文明国であることを自ら示そうとしたのか、日本人が自ら相手に合わせたようだ。その結果、現在の海外メディアで、中国や韓国の名前は「姓-名」なのに、日本人の名前は「名-姓」というおかしなことになっている。以下はCNNの記事だ。

Japan 'no hurry' to lift beef ban
http://cnn.com/2005/BUSINESS/10/26/japan.madcow.ap/index.html
Prime Minister Junichiro Koizumi said,

Kim Jong-il confidant dies at 73
http://edition.cnn.com/2005/WORLD/asiapcf/10/23/yon.korea.reut/index.html
a close confidant of leader Kim Jong-il

China issues warning on HIV cases
http://edition.cnn.com/2005/WORLD/asiapcf/10/24/aids.china.reut/index.html
Dai Zhicheng, director of the Health Ministry's Committee of AIDS Experts,

オンライン百科事典「Wikipedia」も同じだ。

Junichiro Koizumi
http://en.wikipedia.org/wiki/Junichiro_Koizumi

Kim Jong-il
http://en.wikipedia.org/wiki/Kim_Jong-il

Mao Zedong
http://en.wikipedia.org/wiki/Mao_Zedong

2000年12月8日に「国際社会に対応する日本語の在り方」という国語審議会の答申が出ていて、

日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えば Yamada Haruo)とすることが望ましい。

と書いてある。おそらく天声人語に出てくる「提案」をうけてのものだろう。しかし文部科学省の英語ホームページに「Minister of MEXT Nariaki Nakayama」と書いてあることをみると、この答申がまったく意識されていないようだ。

「天声人語」にこういうエピソードが出ている。

ある友人は、仕事で米国に滞在していた間、あえて「姓-名」を押し通した。その結果、ほとんどの米国人はつぎの2点を知らない、と知ったそうだ。(1)日本人は「姓-名」の順で表記する(2)日本のおとな同士は、幼なじみでもない限り「姓」で呼び合う。

欧米人に自己紹介するときは「姓-名」で名乗り、日本では姓が最初に来ると説明しようではないか。名前という非常に基本的なものでさえ、自分たちと異なる流儀の国があるということを理解してもらう。これが相互理解の出発点である。

アメリカ人は日本のことを分かってくれないと嘆く人がいる。その原因は、日本の文化や慣習を覆い隠すことで、日本人自身が作り出してきたのかもしれない。

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2005年11月14日

バカと思われないためのスペルチェック

以前勤めていた会社で、「製品名は絶対に間違えるな」とある課長に言われたことがある。社外向け文書や提案書を書くときの注意事項としての発言だった。この言葉はいまでも記憶に残っている。製品名は人の名前と同じくらい重要だ。スペルミスを見逃して社外にメールや文書を出すと、バカと思われかねない。

最近レビューに回ってくる文書を見ると、製品名の間違いが多いのに驚く。メールが普及して書き言葉でのコミュニケーションが格段に多くなった。そのぶん、ひとつひとつの文章に対する緊張感が低くなり、校正もそこそこにレビューに回す傾向があるように思う。

とはいっても、目視でチェックするのは非効率。以前書いた正規表現でのダブルバイト文字チェックと同じく、こういうところにコンピュータを活用したい。

製品名の誤りは、Wordのスペルチェック機能で見つけられる場合がある。テキストをWordにコピーして、F7キーを押すだけだ。「場合がある」と但し書きをつけたのは、「PowerPlay」「BusinessObjects」という文字列なら、辞書に登録しておいてスペルミスを見つけられるが、「DB2」や「CICS」のような全て大文字の文字列は引っかからないからだ。文字数や大文字・小文字の使われ方で、スペルチェックをおこなうかどうかを判断しているのだと思う。

よく使う製品名を単語登録してしまうというのもひとつの手だ。たとえば「PowerPlay」を「パワ」という読みで登録すれば、キータッチ数も節約できて一石二鳥。ただし、私はこのやり方が好みではなく、使っていない。

ATOKの「推測変換」も役に立つ。これは、一度入力した文字列をATOKが記憶し、次回からは最初の数文字を入力したときに候補提示してくれる機能だ。「Pow」とタイプした時点で「PowerPlay」が省入力候補として表示される。Shift + Enterを押せば入力完了。もっとも、間違って入力したものを繰り返し入力する危険性と隣り合わせだ。最初に入力するときに十分注意しなければならない。

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2005年11月13日

メールのテキスト整形(秀丸エディタのマクロ)

橋本大也氏のブログ「情報考学 Passion For The Future」は、本やツールの情報収集に重宝している。今日のテーマは「ドラッグアンドドロップでテキスト整形 簡単!一発改行ツール」。メールのテキストを72バイト目付近で改行し、ネチケットに沿ったレイアウトにするときに役立つツールの紹介だ。

私は秀丸エディタで文章を書いて、Outlookにコピーしている。秀丸エディタの長所は、マクロで機能拡張ができること。上で述べたテキスト整形用のマクロがいくつも公開されている。私は、Y.Tombi氏の「DAN 段落整形マクロ ver 1.13」を使っている。1993年作のずいぶん古いものだが、秀丸エディタ最新版でも問題なく動作する。

このマクロのいいところは、秀丸エディタで編集しながら整形できるのはもちろん、


  • 整形済み段落に文字を挿入したり削除しても、簡単に再整形できる

  • 段落ごとに整形できるので、整形したくない部分、たとえば長いURLの行をそのままにしておける

  • 行頭に空白を入れておけば、段落全体をインデントできる

という3点だ。10年くらい使い続けていて、いまでは必需品のマクロだ。

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2005年11月12日

公衆無線LAN

メインで使っているISPのSo-netが公衆無線LANの日額プランを始めた。1日あたり350円。アクセスポイントはNTTコミュニケーションズのホットスポットと日本テレコムのBBモバイルだ。一度申し込んでおけば、使った分だけが毎月のSo-netの利用代金と一緒に請求される。IDとパスワードだけを覚えておけばよいので楽だ。

モバイル環境で一番使い勝手のいいのはPHSカードだろう。首都圏ならほぼ全域で使える。道ばたでもOK。しかし速度と値段が難点。社内メールには1MB以上のファイルが当たり前のように添付してある。以前に比べて通信速度は速くなり、258kbpsのAIR-EDGE[PRO]や2.4MbpsのPacketWINというサービスが使えるが、力不足の感は否めない。無線LANならストレスなしに使える。

また、PHSや携帯のデータ通信は費用がかさむし、毎月数千円を払わなければならない。たまにしか使わない私には、日額プランの方が適している。

無線LANは、使える場所が限られているのが最大の弱点だ。まずアクセスポイントを探さなければならない。NTTコミュニケーションズのホットスポットは、アクセスポイントの所在地を携帯サイトで検索できるところがよい。BBモバイルは今のところPCのホームページだけだし、そのページも少々使いづらいのが難点だ。改善して欲しいところだ。

使える場所が限られているといっても、仕事で使うなら椅子と机が必要。そうすると、モスバーガーでホットスポットが、そしてマクドナルドでBBモバイルが使えれば必要にして十分ともいえる。コーヒー1杯で2時間でも3時間でも粘れる。

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2005年11月10日

デジカメCCDの不具合

様々なメーカーのデジカメで起きているCCDの不具合。原因はどうやらソニーの部品らしい(参考記事)。私のIXY DIGITAL 320も、ある日突然おかしくなった。

20051106IXY
右の写真がそのときに撮影したもの。ヤンキース観戦旅行から帰ってきた翌週だ。もしこれが旅行中だったらと思うと、冷や汗ものだった。

一連のCCD不具合のニュースは知っていたが、まさかキヤノンも該当するとは思わず、通常の手続きで修理に出し、修理代金9975円を支払った。キヤノンが情報を出したのは、修理が終わった2週間後だった。

すでに修理済みのものの扱いが書いてなかったので、コールセンターに電話で聞いてみた。今回の不具合と判明したら修理代金を返金するという回答。調査の結果が出たのが約2週間後で、案の定、該当していたとのことだ。返金手続きのための書類が先週届いた。

製品、特にハードウェア製品はいつか必ず故障する。これは避けられない。大切なのは、そのときのベンダーの対応。今回のキヤノンの対応は満足いくものだった。これなら安心してキヤノン製品を使い続けられる。同じように、私がThinkPadを何台も使い続けているのも、IBMの修理の対応がよかったからだ。こういう対応を見習いたい。

カスタマーサポートの対応によって、リピーターを増やしたり、逆にメーカー離れを起こしたりする。そういう意味では、コストセンターと見られがちなカスタマーサポートも、営業活動の一部を担っている。サポートエンジニアもそういう意識が必要だ。

(参考記事)
[WSJ] 80機種以上に波及したソニーのCCD不具合
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0510/27/news067.html

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Single Point of Failure

コンピュータシステム関連の英語文書でよく見かけるけど、一般に馴染みのない言葉に「Single Point of Failure」というものがある。信頼性に関する記述によく現れる言葉で、その部分が故障(failure)すると、システム全体が停止するような箇所のことだ。

たとえば、運用系と待機系からなる冗長構成を採用していても、電源が一系統しかなければ、停電したときにシステム全体が停止してしまう。あるいは、全てのLAN配線が最終的に1台のハブに集約されている場合、そのハブが壊れると全ネットワークが停止する。このような弱点を持つポイントを「Single Point of Failure」と呼ぶ。

残念ながら、この概念に対する日本語の用語はきちんと定まっていないようで、さまざまな言葉が使われている。たとえば略語で「SPOF」と表記しているものがある。初出時に説明しているものの、これはあまりいいやり方ではない。長ったらしい英語を短く表記するにはいいのだが、意味を読者に伝えようという努力を怠っているような感じがする。これは、CPM・ERP・CRMなど、業界に溢れている略語全てに言えることだが。

英辞郎では「シングルポイント障害」という訳語をあてていて、これを使った文書もGoogleで見つかる。しかしこの言葉だと、弱点のある箇所ではなく障害そのものに焦点が当たっていて、概念とずれているように思える。

共通理解とまでいかないものの、「単一故障点」「単一障害点」という言葉が現時点では主流のようだ(下記参照)。Googleで検索してざっと眺めた範囲では、航空宇宙産業で「単一故障点」という用語がよく使われているようだ。技術者向けの文書で使うなら、この「単一故障点」「単一障害点」がよいだろう。ただし現段階では注釈が必要だ。

デザインを考える場合、気をつけなければならないのは、単一障害点(Single Point of Failure)の存在です。単一障害点とは、ある一点に障害が発生した場合に、システム全体、もしくは、システムの一部が停止してしまう障害を意味しています。
「ストレージ エリア ネットワーク その技術と将来動向 ~基礎講座~」
http://www.brocadejapan.com/storagecompass/snkk/snkk_3.html
冗長系システム内に単一故障点が存在していないかを確認するため、詳細設計情報を再確認すること。また、冗長系確認試験の妥当性について確認すること。
「陸域観測技術衛星(ALOS)の総点検に関する審議結果」
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/uchuu/reports/05010401.htm

問題は、ユーザ向けのパンフレットである。海外の製品パンフレットに「Single Point of Failure」と書いてあるからといって、それを日本語に訳したパンフレットに「単一障害点」と書くと、ほとんどのお客様は面食らってしまうだろう。文脈から意味をつかんでもらえるだろうが、馴染みのない専門用語を製品パンフレットに使うのは、顧客視点から考えて避けたい。

私は、一般の人向けの文書で「信頼性の急所」という訳語を使うことにしている。「急所」は、「身体の中で、そこを害すると生命にかかわる大事な所」(広辞苑第五版)である。なかなかいい訳語だと、一人で悦に入っている。いまのところGoogleで見つからない。もしこの言葉が使われるようになったら、インターネットでの「第一声」はこのブログということになる。ちょっとした自己満足的楽しみである。

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2005年11月 9日

ネット人格への対処法

女子高校生が母親を毒殺しようとしたという事件。少女がブログにその経過を逐一書いていたことがワイドショーなどで取り上げられている。ふだんの彼女と異なる顔をネット上で見せていたことについて、識者がいろいろと意見を述べている。

ネット上で別の人格を見せるのは、何もこういった事件のときだけではない。ビジネスの場でも、実に辛らつな言葉をメールで投げてくる人は少なくない。

あるお客様でトラブルが長期化したとき、先方のプロジェクトマネージャの方から、訴訟も辞さないという厳しい内容のメールをいただいたことがある。営業と二人で雁首そろえて報告に行き、無事に生きて帰ってこられるだろうかと戦々恐々としていた。しかし実際に会って話をすると、「え、これが同じ人?」と拍子抜けするくらい穏やかで物わかりのいい方だった。

このお客様に限らず、メールや掲示板だと攻撃的になる人が少なくない。受け取る側がとれる対策は、返信メールを送る前に下書きの状態で保存し、少し経ってから読み返すことだ。相手のメールに対して「自動反応的に」書いたものは、往々にして論理が不明確だったり、表現が感情的だったりする。時間をおくことで、冷静に客観的な目で自分の書いた内容を評価することができる。

それ以上にビジネスの場で心がけたいのは、メールに対して電話で返答することだと考えている。メールで相手の怒りを収めて誤解を解くには、相当な文章力が必要。そういうメールを書いている時間があったら、電話を一本入れたほうがずっと手っ取り早く、余計な誤解も避けられる。メールでやりとりしても、けっして収束しないばかりか、さらにやっかいなことになる可能性が高い。

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2005年11月 8日

「CPU集約的な」ビジネスアプリケーション

IT業界のパンフレットやホワイトペーパーでよく見る、よく意味のわからない言葉に「○○集約的」というものがある。Googleで検索した結果からいくつかを無作為に引用してみよう。

単純なアプリケーション (CPU 集約的なアプリケーション) の場合は、CPU 使用率を確認し、その値が低い場合で、アプリケーションの応答時間が想定時間内である場合には、Maximum Active Requests の値を大きくできる場合もある。
「J2EEアプリケーションの効果的パフォーマンスチューニング」
http://sirius.itfrontier.co.jp/jrun/pdf/jrw2/jrw_s4.pdf
追加の帯域幅により、CPU及びメモリ集約的なビジネスアプリケーションは元より、今日の要求水準の最も高い3D及びデジタルメディアアプリケーションのパフォーマンスも増強されます。
「VIA K8T800 Proチップセット、新世代AMD Athlon64プロセッサに最適化され、1GHz HyperTransportテクノロジI/Oバスを正式にサポート」
http://www.viatech.co.jp/jp/news/PR040601K8T800Pro-939-jpn.jsp
例えば、Linuxクラスターといったハイパフォーマンスが要求される分野や、物理シミュレーションなどを行う科学技術計算の分野、膨大なデータを解析して財政に関するクリティカルな意志決定を行うビジネスの中枢など、データ集約的なアプリケーションを活用する場面において、その優れたパフォーマンスを発揮します。
「IBM eServer xSeries 382」
http://www-06.ibm.com/jp/servers/eserver/xseries/product/x382/index.shtml

これらの文を読んだ日本人のうち、「CPU集約的」とはどんなことかをきちんと理解している人が何人いるのだろうか。私が初めてこの手の訳語を見たときは、さっぱりわからなかった。広辞苑によると、「集約」とは「集めてまとめること」だ。サーバを統合するというのとは違うようだし、「CPUを集めてまとめる」が何を指しているのかイメージがわかなかった。

しばらくして、これは「労働集約的産業」と同じ用法だと気がついた。自社の製品パンフレットを翻訳していて、「storage-intensive」という言葉に遭遇したときだ。もしやと思って調べてみると、CPU集約的は「CPU-intensive」、「メモリ集約的」は「memory-intensive」の訳語だ。

つまり、「labor-intensive」が「労働集約的」だから、それを応用して「CPU集約的」といった訳語を作り出しているようだ。「労働集約的産業」は、「人的労働の投入率が他の生産要素に比べて高い産業。農業・商業・サービス業・軽工業など」(広辞苑)である。つまり「CPU集約的」は、「CPUの使用率が他のアプリケーションに比べて高い」という意味らしい。なるほど、そう思って読み直すと意味が通じる。

ちなみにCNETやZDNetは、日本語版のニュースから原文にリンクが張られているので、訳文の対照研究に便利だ。また、海外製品の日本語マニュアルに意味不明の部分がある場合、英語版マニュアルの対応部分を読むと疑問が氷解することも多い。

「○○集約的」と同じように、「deploy」の訳語としての「配備する」もよく見かける。

Java 2 Standard Edition (J2SE) では、デスクトップ上でクライアント側に Java アプリケーションを配備するために、次の 2 種類の配備用テクノロジを利用することができます。
「Java配備の概要」
http://java.sun.com/j2se/1.5.0/ja/docs/ja/guide/deployment/deployment-guide/overview.html

言わんとすることはわかるが、どうも違和感がある。日本のIT業界で普段使われている「展開する」「導入する」という言葉を使った方がいいだろう。「配備する」という言葉からは、兵隊や武器装備を移動・配置することのような印象を受け、IT製品の文書に出てくると変な感じを受ける。

海外製品の日本語版パンフレットは、字が多くて読みにくいだけでなく、直訳調の文章で読みにくいことが多い。それに加えて「CPU集約的」などという馴染みのない言葉を使うと、ますますわかりにくくなってしまう。これでは、製品パンフレットの本来の役割を果たせないのではないだろうか。ついでに言うと、上で挙げた例文の中の「追加の帯域幅」も、わかりやすい日本語に書き換えた方がよい例のひとつだ。

とはいえ、「○○集約的」も「配備する」も、すでに非常に多く使われている。徐々に市民権を得ていくのかもしれない。

(関連記事)
ユーザに「透過的な」機能
http://raven.air-nifty.com/night/2006/05/post_e9d4.html

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2005年11月 7日

「会議の技術」

「プレジデント」2005.11.14号は「会議の技術」特集。日本企業の非効率な仕事の代名詞のように取り上げられる会議。それを実りのあるものにするためのアイディアを数多く紹介している。いくつかの記事に共通しているのが、「事前の準備」と「開始・終了時間の厳守」、そして「付箋紙と模造紙の活用」だ。

事前準備が大切なのはいうまでもない。参加者が集まってから、「さあ、今日は何を話し合うのか」と言い出す会議は多いが、これは論外。最低でも議題とゴールは決めておく必要がある。資料を事前に配布し、各自が考えを整理してこなければ、時間内に結論を出すのは無理だろう。

開始時間と終了時間の厳守も基本中の基本なのだが、これもきちんと守られていないことが多い。私が参加していたビジネスパートナーとの月例会議はいつも長く、最長で7時間かかったことがある。議論のテーマを事前に決めておいたのに、あるテーマについて話し合っているときに、「ところであれはどうなった?」と脱線してしまう。あるいは、会議中に携帯に電話がかかってきて、議論が中断する。こういったことの積み重ねで会議時間がどんどん長くなってしまっていた。

終了時間を決めておくべきだったのだが、ざっくばらんにいろいろな課題を話し合いたいという雰囲気だったので、なかなか提案しにくい。次善の策として、会議開始前に「今日は○時から別の予定があるので、私が必要な議論はそれまでに終わらせて欲しい」と宣言するようにした。これなら、私の拘束時間は少なくてすむし、それ以降はほかのメンバーに任せて退出できる。

付箋紙と模造紙は、議論を活性化し、意見をまとめるツールだ。私はあまり使ったことがなく、ホワイトボードですませていた。興味をひかれたのは、吉村浩一氏の記事だ。吉村氏は、ホワイトボードを使うチームと模造紙を使うチームに分けて、アイディアを出し合う会議の実験をした。その結果、模造紙のチームの方が多くの意見が出たそうだ。

ボードを使ったチームはボードがいっぱいになった時点で意見が出尽くした雰囲気になってしまうんです。(中略)必要だと思われるだけ模造紙を貼っておいて、いっぱいになったらまた貼り替える。(中略)これならちょっとやそっとでは議論が終わった気にならない。

議論の中で出てきたちょっとした意見を仮置きするための「パーキングロット」の模造紙を作るというアイディアも使えそうだ。

付箋紙の使い方の一例として吉村氏が紹介しているのが「プロセス=マッピング」。業務プロセスの改善がテーマの会議で、付箋紙で個々のプロセスを付箋紙に書き出して模造紙に貼り付ける。プロセスを可視化でき、順番を入れ替えたり付け加えたりするのが簡単だ。付箋紙や模造紙というアナログツールも、使いようによっては非常に有効というのを改めて認識した。

パソコンをプロジェクターで投影して、PowerPointなどで同じようなことをやっている人も多いだろう。この方法の長所は、会議終了後にすぐアウトプットの文書が出せることだ。しかし操作に習熟していないと議論のリズムを崩したり、操作している人が議論に加わりにくいという欠点もある。

ここ数ヶ月、三色ボールペン方式や付箋紙・模造紙などのアナログツールの良さを再認識する機会が多い。デジタルにしろアナログにしろ、ツールは手段にすぎない。どちらか一方に凝り固まらず、適材適所で使うのが正しいあり方だろう。

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2005年11月 6日

聴衆をひきつける講演タイトルの付け方

ブログのタイトルを「raven.blog」から「私家版 ITプロフェッショナルの仕事術」に変更した。理由は、検索エンジンやブログポータルにリストアップされたときに、ブログのテーマがわかるようにするためだ。

「raven.blog」のような英文字のブログはたくさんある。しかし第三者の目で見ると、いったい何が書いてあるブログなのか、アクセスするまでわからない。ブログの著者はそれなりに思い入れがあって付けているのだろうが、それが読者に伝わらない。

同じことはセミナーなどの講演タイトルにもいえる。講演タイトルは、足を運ぶかどうかをお客様が判断する材料のひとつだ。安易に決めず、講演内容と同じように十分練っておきたい。

ときどき見かけるのが「Network Monitor GX 4.0のご紹介」というように、「<製品名>のご紹介」や「<製品名>の概要」というパターン。その製品が非常に有名であればまだ許せるが、製品の機能を紹介をするだけという印象を受けるこの手のタイトルでは、わざわざ時間をかけて聞きに行こうという気が起こらない。

同様に、「<ベンダ名>が考える○○ソリューション」とか「○○時代の△△」「ユビキタス時代の△△」という紋切り型のパターンも考え物だ。○○や△△の部分に何を持ってきてもそれなりに収まりがつく。つまりこのタイトルには意味やメッセージが込められていないということだ。

話す内容がきちんと決まっていないときに、上の2つのパターンに陥りがちだ。これは、キーメッセージがはっきりしていないこと、つまりプレゼンテーションや文章の大前提がぐらついているということを意味する。

心がけたいのは、聴衆や読者の視点に立ったタイトル付けだ。聴衆や読者が持っている問題意識に訴えかけるタイトルであれば、「行って聞いてみよう」「アクセスしてみよう」という気になる。必然的に、全方位的なタイトルではなく、特定の人々に向けたメッセージ性が強いものになる。「誰に」に対して「何を」伝えるか。聴衆分析や読者分析が大切である。

キーメッセージが明確な場合に、簡単に使えて効果的なのは疑問形を使うパターンだ。「いまの○○で大丈夫ですか?」「○○が企業に与える影響とは?」「○○は△△で防げるか?」というタイトルは、キーメッセージの言い換えである。そのテーマに関して問題意識を持っている人なら、少なくとも講演概要を眺めるくらいのことはするだろう。

聴衆が初心者レベルで、特定のテーマをわかりやすく説明するための講演や文章なら、「これだけはやっておきたい○○」「これならできる○○」「これならわかる○○」という、パソコンガイドブック風のタイトルを使うのもひとつの方法だ。私も使ったことがあり、好評だった。

製品の機能がある程度知られている場合は、ありきたりの内容では興味を持ってもらえない。そういうときに使える、聴衆・読者が知らないことをそっと教えますよという雰囲気のタイトルもある。マニュアルに載っていない○○の使い方」とか「○○の活用のヒント」といった具合だ。事例もこの中に含めていいだろう。「○○社における△△の活用事例」などだ。ひとつのセミナーに複数の講演がある場合は、できれば事例を入れたい。製品の機能や一般的な効果は、製品パンフレットを見ればよい。それよりも、実際に製品を使っているユーザの声を聞きたいと誰もが思っているはずだ。

宣伝臭が強いタイトルは避けたい。「TCOを劇的に改善する画期的なネットワーク管理ソリューション Network Monitor GX 4.0」というのをときどき見かける。なるべく目をひきたいという気持ちはわかるし、実際に効果はある。しかし、うさんくさい誇大広告と思われる危険性と紙一重だ。注意して使うようにしたい。

「○○を10倍改善する△△」「○○業務の時間を3日短縮した改善事例」など、数字を使ったタイトルも、使い方を誤らなければ効果的だ。あまりに非現実な数字は、やはり誇大広告と思われかねない。あくまで現実性のある数字でなければならない。

ちなみに、「○○について」というタイトルは、「について」を取ってしまってよい。メールでもよく見かけるタイトルだが、全てのタイトルは、「そのタイトルについて書きますよ、話しますよ」ということを宣言している。わざわざ「について」を書き加える必要はない。これで4文字節約できる。講演タイトルに字数制限がある場合などは、節約分を使って「の利点」「の効果」などと書けば、メッセージ性の高い効果的なタイトルにできる。

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2005年11月 5日

否定文化と肯定文化

堀内浩二氏のブログ「発想七日!」に、「定着したら嬉しい文化」というお題が出ている。似たようなテーマで記事を書こうとしていたところで、ちょうどいいタイミングだった。

さて、NHK教育テレビの「日本語なるほど塾」で、国語学者の金田一秀穂氏がこういうことを言っていた。

日本は、あちこちに「○○禁止」という表示がある。日本人は小さいころから「○○してはだめ」と言い聞かされて育ってきた。これに対してアメリカでは、「○○しなさい」ということが多い。こうした言葉の違いが、文化の形成に影響している。

そして、日本で「立入禁止」と書くが、アメリカは「Keep Out(外にいなさい)」と書くという標識を例として紹介していた。

もちろん、アメリカにも「○○してはいけない」という標識がある。駐車禁止は「No Parking」だし、直進しかできない道路では「No Turn」だ。しかし、子どもの教育や指導での違いは確かにあるようだ。

たとえば、アメリカの小学校低学年で「Show and Tell」という授業があるそうだ。自分が大切にしているものを持ってきて、どんなに大事で素晴らしいものかをみんなに説明するのだそうだ。これは渡辺邦昭氏の「転職3回、30代で年収3000万円の社長になる」に出てくる話だが、全く同じことが元マイクロソフトの古川享氏のブログに出ていた(「プレゼンテーション、米国と日本の違い」

古川氏は、日本の教育システムについてこう書いている。

日本の教育システムの中では、「学校にオモチャを持ってくるのは禁止」だとか「人に自分の持っているものを自慢してはいけない」というルールの基に「いわゆる良い子」が育ってしまうのだろうな?と思いました。

私が受講した異文化理解セミナーでも、日本の「否定/禁止」教育についての話があった。講師はアメリカにしばらく住んでいた女性で、子どもをアメリカの学校に通わせた経験がある。アメリカの小学校では、「先生の話を聞いて思ったことを発言しましょう」と指導されるのに対して、日本の学校では、「先生の話は静かに聞きましょう」と言われる。表現こそ「○○しましょう」であるが、「授業中に勝手にしゃべってはだめ」ということを暗に強制している。

私は、本をたくさん読み、知識だけは豊富な小学生だったから、自分が思ったことをどんどん発言していた。しかし「知ったかぶりをしてはだめ」と叱られることが何回かあって、言いたいことがあっても黙っているようになっていった。親や先生は、「一所懸命自分の頭で考えているほかの子のことを思いやりなさい」と言いたかったのだと思う。それはそれで大切なことだが、言いたいことを押さえつけられて欲求不満を感じていたのは確かだ。

さらに、子どもが失敗したときの親の対応のしかたの違いもよく耳にする。日本では叱ったり、失敗を繰り返さないようにと注意したりするのに対して、アメリカの親はよいところを見つけて褒めたり、失敗したけどトライしたことを認めるという。これも、日本の「否定/禁止文化」の表れだろう。

「○○してはいけない」と言われ続け、自分の意見を言うことを奨励されず、失敗したら叱られて育った子どもが、会議でひとことも発言せず黙って人の話を聞くだけだったり、セミナーを受講して講師が質問を促しても挙手のひとつもしない大人になってしまうのは、ある意味で当然の帰結かもしれない。

いいところを見つけて褒める「肯定文化」が日本にも定着してほしいものだ。洋の東西を問わず、褒められれば人間誰でもうれしくなるはずだ。それがビジネスの場でもいい影響を及ぼすことになる。

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2005年11月 4日

将官は肝で仕事をする

「尉官は体で仕事をし、佐官は頭で仕事をし、将官は肝で仕事をする」

これは、先輩SEのTさんが業務報告に書いた言葉である。私たちの部署は、全員の月次業務報告を回覧していて、そのときに目にした。言葉の意味はこうだ。

  • 大尉・中尉・少尉は、部下とともに汗をかいて現場で仕事をするべし。
  • 大佐・中佐・少佐になったら、頭を使い、よりよい戦略や戦術を考え、部下に実行させるべし。
  • 大将・中将・少将は、腹をくくって決断を下し、部下の動きを肝を据えて見守るべし。いざというときには責任を取るべし。

会社組織にあてはめると、尉官が主任やリーダーで、佐官が課長、そして将官が部長以上といった具合だろうか。

ユーザでトラブルが発生したとき、あわてふためいてとんちんかんな口出しをする上司は、現場の担当者にとってきわめて迷惑。こういうときは佐官や将官の役割を果たすべきである。そうでない反面教師の上司を見てきただけに、この言葉が座右の銘になっている。

私の経験から付け加えたのが、「ひとつ上の視点を持つ」ということ。尉官は、自分が佐官だったらどういう戦術を考えるかを意識しながら身体を動かす。自分がやっていることの意義を理解できれば、きつい仕事でもモチベーションが落ちない。現場から見て佐官の戦術が不適当なら、それを進言することも必要だろう。

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2005年11月 3日

ブックカバーのダウンロードサービス

本を本屋で買うと紙のブックカバーをかけてくれるが、アマゾンなどのネット販売だと裸のまま送られてくる。本屋でもらったものを流用したり、わざわざ文房具店で買ったりしていた。

オンライン書店のビーケーワンがブックカバーのダウンロードサービスをやっているというニュースが、「窓の杜」に出ていた。34種類のデザインから好きなものを選び、自分で印刷してブックカバーにできる。取り付け手順が写真で説明してあって親切だ。

紙のブックカバーははずれやすかったり、使っているうちによれたりするのが難点。印刷したものを100円ショップなどで売っている透明ブックカバーにはさんで使うときれいに使える。透明ブックカバーはビニール製で、手触りに少々難があるものの、飽きたら別の柄に簡単に入れ替えられるところがいい。

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2005年11月 2日

ペン型携帯釣竿

アイデア商品セールの折り込み広告が新聞に入っていた。私はこういう商品のカタログを見るのが好きで、飛行機のシートポケットに入っているショッピングガタログを見るのが楽しみだ。特にアメリカの航空会社のカタログがおもしろい。

20051031FishingRod
折り込み広告の中で目をひいたのは「ペン型携帯釣竿」。収納すると20センチで、スーツの胸ポケットに収まるというふれこみ。なかなか便利そうだ。

とはいえ、仕事帰りにちょっと釣りという状況はちょっと考えにくい。夕方の川岸で背広姿で釣り糸を垂れている姿は、下手をすると会社をクビになったサラリーマンと勘違いされそうだ。

釣り好きのお客さんとの雑談ネタとして使うのはどうだろう。これをエサにして実際の釣りへ誘い、人間関係を構築できれば、その後の商談もスムーズ。最近は、ビルの地下に釣り堀があるらしいから、お客さんにも買ってあげて、二人で「マイ釣竿」を持って行くというのもいい。

と、ここまで書いて「20センチ」という長さが気になった。案の定、私のスーツのポケットを測ると、深さは13センチくらい。広告の写真を見て、スーツのポケットに忍ばせて会社に行こうとすると失敗する。数字を見たらまず疑え。ビジネスの基本だ。

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2005年11月 1日

主語の使い分け(You・We・無生物)

「テレコン英会話小冊子」というPDF文書がIBMのホームページに載っている。IBM本社や海外の開発部門とのコミュニケーションをスムーズにし、最終的には顧客満足度を上げようという活動の一環で、ソフトウェア=テクニカル=サービス部門の社員が作ったものだ。非常に実践的でわかりやすい。それだけでなく、こういう情報を社外にも公開する姿勢が素晴らしい。

さて、この小冊子に主語の使い方の注意書きがある。

修正プログラムを作成依頼する時
Can this be fixed?
  「Can you fix it?」では相手の能力を聞いているように取られるので注意。

「Can you ~ ?」は、何かを依頼するときに「Can you open the window?」などと言うから、何の気なしに「Can you fix it?」と言ってしまいそうだ。しかし、場合によっては相手の気分を害する。特に、声のニュアンスが伝わらず、補足説明もすぐにはできないメールで使うのは要注意である。

最近読んだ「反省しないアメリカ人をあつかう方法」(ロッシェル=カップ)に似たような話が出ている。それによると、問題を指摘するときの主語は、「you」ではなく「we」を使うとよい。「You have a problem.」と「We have a problem.」では、ずいぶん違って聞こえるとのこと。また、「we」や「let's」を使うと、一緒になって解決に取り組んでいるという気持ちが伝わる。

相手を責めているという印象を与えないためには、無生物主語を使う方法もある。これが「テレコン英会話小冊子」の例文「Can this be fixed?」だ。必然的に受動態になる。受動態は責任の所在があいまいになるという欠点があり、原則として避けたほうがよい。これを逆手にとって、相手を糾弾するニュアンスを抑えているわけだ。

ところで、「会議の技術」が特集の「プレジデント」最新号(2005.11.14号)の「IBM式 問題解決を3日短縮した電話会議の秘訣」という記事が「テレコン英会話小冊子」を紹介している。ちなみに、このブログ記事を書いたのは「プレジデント」を読む前。下書きのまま寝かせておいたら、タイミングよく「プレジデント」に記事が載った。これもまた、関心のアンテナを張り巡らせていると、情報が向こうから飛び込んで来るという「ジーンズ不安定性」のなせる技だろうか。

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