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2005年11月 5日

否定文化と肯定文化

堀内浩二氏のブログ「発想七日!」に、「定着したら嬉しい文化」というお題が出ている。似たようなテーマで記事を書こうとしていたところで、ちょうどいいタイミングだった。

さて、NHK教育テレビの「日本語なるほど塾」で、国語学者の金田一秀穂氏がこういうことを言っていた。

日本は、あちこちに「○○禁止」という表示がある。日本人は小さいころから「○○してはだめ」と言い聞かされて育ってきた。これに対してアメリカでは、「○○しなさい」ということが多い。こうした言葉の違いが、文化の形成に影響している。

そして、日本で「立入禁止」と書くが、アメリカは「Keep Out(外にいなさい)」と書くという標識を例として紹介していた。

もちろん、アメリカにも「○○してはいけない」という標識がある。駐車禁止は「No Parking」だし、直進しかできない道路では「No Turn」だ。しかし、子どもの教育や指導での違いは確かにあるようだ。

たとえば、アメリカの小学校低学年で「Show and Tell」という授業があるそうだ。自分が大切にしているものを持ってきて、どんなに大事で素晴らしいものかをみんなに説明するのだそうだ。これは渡辺邦昭氏の「転職3回、30代で年収3000万円の社長になる」に出てくる話だが、全く同じことが元マイクロソフトの古川享氏のブログに出ていた(「プレゼンテーション、米国と日本の違い」

古川氏は、日本の教育システムについてこう書いている。

日本の教育システムの中では、「学校にオモチャを持ってくるのは禁止」だとか「人に自分の持っているものを自慢してはいけない」というルールの基に「いわゆる良い子」が育ってしまうのだろうな?と思いました。

私が受講した異文化理解セミナーでも、日本の「否定/禁止」教育についての話があった。講師はアメリカにしばらく住んでいた女性で、子どもをアメリカの学校に通わせた経験がある。アメリカの小学校では、「先生の話を聞いて思ったことを発言しましょう」と指導されるのに対して、日本の学校では、「先生の話は静かに聞きましょう」と言われる。表現こそ「○○しましょう」であるが、「授業中に勝手にしゃべってはだめ」ということを暗に強制している。

私は、本をたくさん読み、知識だけは豊富な小学生だったから、自分が思ったことをどんどん発言していた。しかし「知ったかぶりをしてはだめ」と叱られることが何回かあって、言いたいことがあっても黙っているようになっていった。親や先生は、「一所懸命自分の頭で考えているほかの子のことを思いやりなさい」と言いたかったのだと思う。それはそれで大切なことだが、言いたいことを押さえつけられて欲求不満を感じていたのは確かだ。

さらに、子どもが失敗したときの親の対応のしかたの違いもよく耳にする。日本では叱ったり、失敗を繰り返さないようにと注意したりするのに対して、アメリカの親はよいところを見つけて褒めたり、失敗したけどトライしたことを認めるという。これも、日本の「否定/禁止文化」の表れだろう。

「○○してはいけない」と言われ続け、自分の意見を言うことを奨励されず、失敗したら叱られて育った子どもが、会議でひとことも発言せず黙って人の話を聞くだけだったり、セミナーを受講して講師が質問を促しても挙手のひとつもしない大人になってしまうのは、ある意味で当然の帰結かもしれない。

いいところを見つけて褒める「肯定文化」が日本にも定着してほしいものだ。洋の東西を問わず、褒められれば人間誰でもうれしくなるはずだ。それがビジネスの場でもいい影響を及ぼすことになる。

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