BlackBerryとインフォマニア
オフィスの外でメールをどうやって読むかは、けっこう悩ましい問題だ。外出中くらいメールから解放されたいが、そうもいかないのが現実である。急ぎの用件に返事をしたり、緊急のトラブル報告が入っていないかをチェックしたりなど、どうしてもメールを使わざるをえない。
PHSカードを使ってインターネット、そして会社のVPNに接続するというのが一般的なやり方だろう。欠点は、電車の中や歩いている最中にやるのが難しいこと。電車は、座席でPCを広げると、両隣の人にけっこう迷惑であり、できれば避けたい。その辺に座り込んでおもむろにPCを広げるのは、まだまだ奇異の目で見られそうだ。アメリカの空港では、待合いロビーの床に座り込んでPCを使っている人をよく見かける。私自身は、札幌の地下街で、PCで資料を見ながら、携帯で電話会議に参加したことがある。こういうのが普通の光景になればいいのだが。電車にしろ路上にしろ、PCを使うのはあまり使い勝手がいいとはいえない。
携帯電話にメールを転送している人は多いだろう。メールを読むだけなら一番手軽である。添付ファイルをPCで読まなければならない場合だけ、PC+PHSカードでモバイル通信すればよい。最近ではOffice文書やPDFを読める携帯も出てきた。欠点は、メールを送信するときだ。送信元が携帯のメールアドレスになってしまう。
アメリカに目を移すと、ビジネスマンの間で「BlackBerry」という携帯端末が大流行している。BlackBerryは、カナダのResearch In Motion社がサービスを提供している無線メール端末だ。いま勤めている会社の米国本社の社員は、ほとんどがこの端末を持っていて、会議室やレストランでしょっちゅうのぞき込んでいる。ちなみに、会社のメールシステムはExchangeだ。
携帯電話と同じように、会社のメールを携帯端末に転送しているのかと思っていた。しかし決定的に違うのは、会社のメールアドレスを使って送信できることだ。メールの最後に「このメールはBlackBerryで送信されました」という文が付加される以外は、会社のPCのOutlookで返信したのとほとんど変わらないメールが届く。
これは、既存のメールサーバと統合するサービスやソフトウェアが提供されているからだ。個人向けの「BlackBerry Internet Service」、企業向けの「BlackBerry Enterprise Server」というのがそれ。これを使うと、ワイヤレスでメールサーバにアクセスでき、既存のメールアドレスとBlackBerryを統合でき、送信も会社のアドレスでおこなえる。日本の携帯電話に転送する場合は、全く別のメールアドレスを使い分けることになる。この差は大きい。
非常に便利なだけに、いちど使うと手放せなくなり、四六時中BlackBerryを操作するようになってしまう。こういう人を「CrackBerry」と呼ぶ。アメリカのプリセールスSEのS氏がCrackBerryのおかげで怖い目にあったと話をしてくれた。営業A氏の運転するクルマで客先に行ったときのこと、A氏はクルマを運転しながらBlackBerryでメールを読むので、クルマが蛇行して身の危険を感じた。代わりにメールを読み上げてあげるからと、BlackBerryを取り上げたとか。
日本でも事情は似たようなものだ。携帯にメールが来ていないか、しょっちゅう気にする人は多い。実は私もその傾向が強い。もし日本でBlackBerryのサービスが始まっても、手を出さない方がいいだろう。
CrackBerryのように、メールがいつも気になる症状を「インフォマニア(Info-Mania)」と呼ぶ。インフォマニアがIQに悪影響を及ぼすという説もある。日本HPのWebページ(参考記事を参照)で、インフォマニア度をチェックできる。私は「はい」が8つ。かなり危険な状況である。
(参考記事)
ケータイ用語の基礎知識 第219回:BlackBerry とは
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/keyword/23251.html
IT利用で、あなたのIQが低下していませんか?
http://h50146.www5.hp.com/info/enewsletter/050823/onmove/
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