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2006年3月の3件の記事

2006年3月26日

海外出張で便利なOutlookとiPAQのタイムゾーン機能

以前書いたように、予定管理にOutlookとPDA(iPAQ)を使っている。この組み合わせのよいところは、複数のタイムゾーンを切り替えながら使えることだ。

Outlookは、「日」表示モードで時刻の部分を右クリックすると「タイムゾーンの変更」というメニューが現れる。「1日予定表に追加する別のタイムゾーン」という設定で海外のタイムゾーン、たとえば太平洋標準時を選択すると、2つの時刻を並べて表示できる。海外との電話会議で次回の日程を相談するとき、いちいち時差を計算せずに、「こちらの●●日▲▲時で、そちらの○○日△△時でいいですか?」と即座に言えるので便利だ。この機能は意外と知られていないようだ。グローバルビジネスの経験が長いアメリカ人のディレクターに教えてあげたところ、非常に感謝された。出張で現地に着いたら、「タイムゾーンの切り替え」を選択しておく。Outlookの標準タイムゾーンが現地時間に変わり、予定やアラームを現地時間で設定できるようになる。

PDA(Windows Mobile 2003)の方は、「時計」の設定で「訪問先」のタイムゾーンを指定する。「訪問先」を選択すると、予定表の時刻が新しいタイムゾーンで表示されるようになる。Outlookと同じく、出張先に到着したときにこれをやっておけば、アラームや予定を現地時間で管理できる。

PCもPDAも、システム時刻を進めたり遅らせたりしなくてよいところがミソだ。時刻を進めるのは、しばらくシステムを使っていなかったことと同じなので特に問題ない。しかし、日本からアメリカに出張したときは時刻を遅らることになる。更新したファイルの日付が逆戻りしてしまい、思わぬトラブルの元である。

最近のキヤノンのデジカメにも、普段のタイムゾーンと旅行先のタイムゾーンを切り替えられる機能がついている。デジカメで撮影した画像は撮影日付や絞り・シャッター速度などをEXIF情報として内部に記録している。タイムゾーン機能のないデジカメで時刻を変更せずに撮影すると、日本時間で記録されてしまう。画像管理ソフトでファイルを整理したときに、写っている風景が真っ昼間なのに、撮影時刻が真夜中ということになって具合が悪い。現地に着いたときにタイムゾーンを切り替えておけば、こういった問題を避けられる。

(関連記事)
Windows Mobileのタイムゾーン機能
http://raven.air-nifty.com/night/2006/07/windows_mobile_7bd5.html

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2006年3月13日

The TechでセグウェイとIMAX

20060312TheTech1現地時間12日(日)は、サンノゼ市内のThe Tech Museum of Innovation、通称「The Tech」へ。科学技術がテーマの博物館で、IMAXドームシアターがある。今日の上映作品は「Wired to Win」と「Roving Mars」。これを目当てに行ったのだが、セグウェイに乗るという思いがけない経験ができた。

セグウェイ(Segway)は一人乗りの二輪車だ。極秘のうちに開発されたため様々な噂が飛び交い、発表前から話題になっていたことを覚えている人もいるだろう。残念ながら、話題になったほどにはビジネスがうまくいっていないようだ。それだけに、日本で乗る機会にはまずお目にかかれない。それが、今日訪れたThe Techでセグウェイに試乗できるイベントが催されていた。このチャンスを逃す手はない。

20060312TheTech2セグウェイの運転は簡単だ。体を前に傾けると前進、後ろに体重を戻すと後退する。左手のハンドルグリップを回すと左右に曲がる。最初は前後のバランスがうまくとれずにぎくしゃくしたが、すぐに慣れた。その場でくるくる回転したり、S字スラロームしたりと、待っている人がいなければ、いつまでも乗っていたかった。広い場所で乗り回せば、さぞ楽しいだろう。おもちゃに60万円はちょっと高価だが。

さて肝心のIMAXドームシアターは、1時間未満の作品2本で18ドル。それだけの価値は十分あった。通常の映画館では絶対に味わえない臨場感と迫力だ。品川と軽井沢にIMAXシアターがあるが、2ヶ所とも平面スクリーン。今回のような映像体験は味わえないだろう。

2003年ツール・ド・フランスに出場したロードレーサー2名、FDJeux.comチームのJimmy CasparとBaden Cookeを主人公に、人間の脳の働きを解説した作品が、「Wired to Win」である。空撮映像は、自分がヘリコプターに乗って集団を空から追いかけているような錯覚にとらわれる。

もう1本の「Roving Mars」は、NASAの火星探査プロジェクトMars Exploration Rover(MER)のドキュメントで、Walt Disney Picturesの作品だ。このプロジェクトは、2台の探査ロボットSpiritとOpportunityを火星に送り込んだ。発射や着陸のシーンはもちろんCGである。発射シーンは実写カメラの映像と勘違いしてしまったくらいリアルだ。なお着陸シーンの映像は、NASAのWebサイトで見られる。これが、リアルなサウンドとともに巨大な映像で迫ってくるわけだ。

火星からの電波が地球に届くのに8分かかる。Spiritはパラシュートで減速したあと、エアバッグでバウンドしながら着陸のショックを吸収する。Spiritがバウンドした回数は27回。最初の信号が届くのを、ジェット推進研究所のスタッフ全員が固唾をのんで見守る。着陸予定時刻はとうに過ぎている。成功したのか、それとも失敗なのか。そして「We've got signal」という声とともに、司令室全体が歓喜の渦に巻き込まれた。感動的なシーンだ。

20060312TheTech3常設展示も豊富だ。パンフレットによると、体験展示の数は250以上。たとえばインテル創業後にふさわしく、半導体製造装置が展示してある。その動きを子供に説明するインド人らしき父親は、おそらく半導体メーカで働いているのだろう。マイクロプロセッサの論理回路を体験学習するコーナー(右の写真)では、母親が指導していた。この母親もIT関連企業のエンジニアだろう。将来のIT産業を担う世代が育つ環境が整っているようだ。

第2日曜の今日は、AT&TがスポンサーでIMAX以外はすべて無料。週末や休日は、周辺の駐車場も無料。朝10時から午後3時過ぎまでThe Techを堪能してサンノゼをあとにした。

(参考Webサイト)
Wired to Win
http://www.wiredtowinthemovie.com/

Roving Mars
http://disney.go.com/disneypictures/rovingmars/

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2006年3月12日

Intel Museum

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シリコンバレーの本社に来ている。今回の出張は2週間。週末を挟むので、周辺の観光ができるのがありがたい。現地時間11日(土)の今日はIntel Museum(インテル博物館)に行った。

Intel Museumは、サンタクララのインテル本社敷地内にある。入場は無料。受付でPDAとヘッドホンを貸してくれる。このPDAは無線LANで館内のシステムとつながっており、映像と音声で解説を聞ける。ありがたいのは日本語の音声を選べること。音声解説があると展示物をよりよく理解できるし、いくら仕事で英語に慣れているといっても、日本語の方がよくわかるのは当然だ。まずメニューで、一般コース、製造コース、歴史コースの3つから見学コースを選択する。展示パネルに書いてある番号をクリックすると、解説が流れる。

まず歴史コースを回った。ロバート・ノイス、ゴードン・ムーア、アンディ・グローブの3名が創業したころのエピソードに始まり、世界初のマイクロプロセッサを開発したこと、日米半導体貿易摩擦でDRAMビジネスからの撤退を迫られたことなどが語られる。日米貿易摩擦や、ペンティアムの欠陥で製品を回収・交換する騒ぎになったことなどは、すっかり忘れていた。

製造コースは、マイクロプロセッサを製造する工場(Fab)や製造工程の説明だ。クリーンルームで働く従業員が着用している防塵服を「Bunny Suits」という。1997年頃、カラフルなBunny SuitsのダンサーBunnyPeople(TM)が踊るCMがテレビで流れていたのを覚えている人もいるだろう。なぜ「Bunny」と呼ぶようになったかというエピソードを、インテルの従業員が語っている。ハローウィンで着るウサギの衣装に似ていたからだそうだ。初期の半導体は集積度がさほどでもなかったので、塵をいまほど気にしていなかった。全身を覆う防塵服ではなく、単なるスモックのような簡便なものを着ていたという珍しい写真が展示されている。花柄のものもあったそうだ。

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子供が楽しめる展示物もある。Bunny Suitsを実際に着ることができるし、半導体や金属の伝導率を自分で確かめるコーナーもある。さらに、巨大なマイクロプロセッサの模型(右の写真)があり、音声による寸劇と模型のイルミネーションで、プロセッサの各モジュールがどのように働いて計算を実行しているかを学べる。すべての動作を司る制御ユニットは、少々高圧的な感じのする女性の声だ。バスコントローラは、ちょっと頑固な職人気質のおじさん風、デコーダは海外訛りのある英語、そしてプリフェッチユニットは元気な子供の声で「急いでよ。制御ユニットが待ってるよ!」とほかのモジュールを急かすなど、結構楽しめる。この動作原理はWebで読むことができる(参考記事)。

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Intel Museumの入り口近くに、創業35周年記念タイムカプセルが埋められている。ItaniumプロセッサやCentrino、300mmのウエハーなど約100点が納められていて、創業50周年の2018年に開ける予定だ。今後の主力プロセッサは、CentrinoのマイクロプロセッサPentium Mの流れを汲んだ低消費電力のアーキテクチャに基づくことが確定している。ハイエンド市場への進出を狙って開発した戦略的なItaniumと、どちらかというと傍流だったモバイル向けのCentrinoの両方がタイムカプセルに収められているというのは、実に興味深い。

参考記事
How Microprocessors Work
http://www.intel.com/education/mpworks/index.htm

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