Intel Museum
シリコンバレーの本社に来ている。今回の出張は2週間。週末を挟むので、周辺の観光ができるのがありがたい。現地時間11日(土)の今日はIntel Museum(インテル博物館)に行った。
Intel Museumは、サンタクララのインテル本社敷地内にある。入場は無料。受付でPDAとヘッドホンを貸してくれる。このPDAは無線LANで館内のシステムとつながっており、映像と音声で解説を聞ける。ありがたいのは日本語の音声を選べること。音声解説があると展示物をよりよく理解できるし、いくら仕事で英語に慣れているといっても、日本語の方がよくわかるのは当然だ。まずメニューで、一般コース、製造コース、歴史コースの3つから見学コースを選択する。展示パネルに書いてある番号をクリックすると、解説が流れる。
まず歴史コースを回った。ロバート・ノイス、ゴードン・ムーア、アンディ・グローブの3名が創業したころのエピソードに始まり、世界初のマイクロプロセッサを開発したこと、日米半導体貿易摩擦でDRAMビジネスからの撤退を迫られたことなどが語られる。日米貿易摩擦や、ペンティアムの欠陥で製品を回収・交換する騒ぎになったことなどは、すっかり忘れていた。
製造コースは、マイクロプロセッサを製造する工場(Fab)や製造工程の説明だ。クリーンルームで働く従業員が着用している防塵服を「Bunny Suits」という。1997年頃、カラフルなBunny SuitsのダンサーBunnyPeople(TM)が踊るCMがテレビで流れていたのを覚えている人もいるだろう。なぜ「Bunny」と呼ぶようになったかというエピソードを、インテルの従業員が語っている。ハローウィンで着るウサギの衣装に似ていたからだそうだ。初期の半導体は集積度がさほどでもなかったので、塵をいまほど気にしていなかった。全身を覆う防塵服ではなく、単なるスモックのような簡便なものを着ていたという珍しい写真が展示されている。花柄のものもあったそうだ。
子供が楽しめる展示物もある。Bunny Suitsを実際に着ることができるし、半導体や金属の伝導率を自分で確かめるコーナーもある。さらに、巨大なマイクロプロセッサの模型(右の写真)があり、音声による寸劇と模型のイルミネーションで、プロセッサの各モジュールがどのように働いて計算を実行しているかを学べる。すべての動作を司る制御ユニットは、少々高圧的な感じのする女性の声だ。バスコントローラは、ちょっと頑固な職人気質のおじさん風、デコーダは海外訛りのある英語、そしてプリフェッチユニットは元気な子供の声で「急いでよ。制御ユニットが待ってるよ!」とほかのモジュールを急かすなど、結構楽しめる。この動作原理はWebで読むことができる(参考記事)。
Intel Museumの入り口近くに、創業35周年記念タイムカプセルが埋められている。ItaniumプロセッサやCentrino、300mmのウエハーなど約100点が納められていて、創業50周年の2018年に開ける予定だ。今後の主力プロセッサは、CentrinoのマイクロプロセッサPentium Mの流れを汲んだ低消費電力のアーキテクチャに基づくことが確定している。ハイエンド市場への進出を狙って開発した戦略的なItaniumと、どちらかというと傍流だったモバイル向けのCentrinoの両方がタイムカプセルに収められているというのは、実に興味深い。
参考記事
How Microprocessors Work
http://www.intel.com/education/mpworks/index.htm
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