ThinkPadのプレゼンテーション・ディレクター
ThinkPadには「プレゼンテーション・ディレクター」というソフトが付属している。文字通り、プレゼンテーションを支援するためのソフトである。Fn + F7キーでメニューを呼び出し、液晶のみ表示するモードやプロジェクター・液晶の同時表示モードなど、複数の表示モードを簡単に切り替えられる。
メニューの中に「液晶ディスプレイとプロジェクターでのプレゼンテーション(XGA)」というモードがある。これまで使ったことがなかったのだが、試しに使ってみて感激。いままでせっせと手作業でやっていた準備や後始末をなくすことができる。
普段使っているPCでプレゼンテーションすると、PowerPointスライドを全画面表示しているときはいいのだが、スライドを終了したときにデスクトップやエクスプローラの画面が見えてしまう。ファイルのアイコンが散乱しているのは見栄えが悪いし、聴衆に見られるとまずいファイル名も中にはある。たとえば「○○システムトラブル報告書.doc」といった障害報告書、「△△リリーススケジュール.xls」という発表前の製品名称などだ。
私はこれまで、プレゼンで使うファイル以外は別のフォルダに放り込んで見えなくしてしまうことにしていた。終わったあとに元と同じ配置に並べ替えるのだが、きわめて非生産的な作業だった。
自動的に起動してしまうソフトも要注意だ。たとえば、ATOK Sync。私は、毎日12時に会社のPCと自宅のPCでATOKの辞書を同期している。午前中のプレゼンが少し長くなると、毎日12時のスケジュールでATOK Syncが起動してしまい、説明中のスライドにかぶってしまう。常駐しているスケジュール管理ソフトが、アラームを表示してしまうこともあるだろう。
「液晶ディスプレイとプロジェクターでのプレゼンテーション(XGA)」モードは、デスクトップを全く表示しないモードである。専用のファイル選択ダイアログで選んだアプリケーションだけが表示される。タスクバーやタスクトレイのアイコンも見えない。いくらデスクトップが散らかっていても、このモードを使えば安心だ。
プレゼンテーション・ディレクターのモード切り替えは、画面表示方法の切り替えだけでなく、画面輝度や省電力設定も同時に変更する。これも重宝する。
聴衆がスクリーンを見やすいように部屋を暗くすると、液晶ディスプレイの照明が講演者を照らし出して目障りだ。プレゼンテーション・ディレクターのプレゼンテーションモードは、画面輝度が数段階、自動的に低くなる。
またノートPCは、バッテリ駆動時に数分間操作しないでおくと、自動的にスタンバイモードに移行して電源が切れる設定になっていることがある。これをそのままにしておくと、同じスライドで長時間話しているうちに、PCが勝手にスタンバイモードになってスクリーンが真っ黒になってしまう。プレゼンテーション・ディレクターはThinkPadの省電力機能と連携し、バッテリ駆動でもスタンバイしない省電力設定に自動的に切り替えてくれる。
テックバイザージェイピーの栗原潔氏は、プレゼンテーション専用のユーザアカウントを作るという案をブログに書いている(参考記事)。私も何回か試したのだが、この方法の欠点は、普段と異なるWindows環境になってしまうという点だ。プレゼンテーションを修正したくなっても、IMEのユーザ辞書がほぼ初期状態なので、うまく変換できずにいらいらする。プレゼンテーション・ディレクターは、普段使っているアカウントを使えるから、作業効率はそのままだ。
まさに至れり尽くせりである。このような便利なソフトがどのモデルでも使えるというのもすばらしい。機種を変えても、同じことが迷わずにできる。ThinkPadを使い始めると他のPCに移れなくなる理由は、こんなところにもある。
(参考記事)
栗原潔のテクノロジー時評Ver2「自分のPCでプレゼンをする時の注意事項」
http://blogs.itmedia.co.jp/kurikiyo/2005/11/pc_7ab9.html
(本ブログの関連記事)
効果的なプレゼンとデモのヒント
http://raven.air-nifty.com/night/2005/10/cognos_performa_c0e2.html
聴衆をひきつける講演タイトルの付け方
http://raven.air-nifty.com/night/2005/11/post_8dc5.html
講演時間の注意点
http://raven.air-nifty.com/night/2005/11/post_23ed.html
講演資料を事前に配布するべきか
http://raven.air-nifty.com/night/2005/12/post_2ab2.html
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