« Cygwinのインストール | トップページ | メール件名のべからず集 »

2006年7月28日

サーバ「統合」かサーバ「集約」か

最近のIT業界では、管理コストを削減するためのサーバやストレージの「統合」が重要なキーワードである。これは「Consolidation」に対する訳語であるが、私は「集約」の方がいいと思っている。理由は、「Integration」も同じく「統合」と訳されていて、この2つの区別がつけられないからだ。

先日翻訳した文書に、「サーバをconsolidateする際には、既存環境とのintegrationが必要だ」という主旨の文があった。これをどちらも「統合」と訳すと、「サーバを統合する際には、既存環境との統合が必要だ」と、何をいっているのかわからない文になってしまう。原文が別の言葉を使っているなら、訳語も別にするべきだ。

「Integration」は、複数のものを組み合わせることによって、お互いに足りないところを補い合い、完全なものにするという意味だ。American Heritage Dictionaryでは「To make into a whole by bringing all parts together」と解説している。「Integrity(完全性)」も同じ語源だ。IT業界で「Integration」といえば、複数の監視ソフトを連携させて、システム全体の状況を1台のコンソールで把握できるようにするといった場合に使われる。1つのソフトでは監視できない部分を、別のソフトからメッセージをもらうことで補い、完全な監視システムを作り上げるというわけだ。

いっぽう「Consolidation」は、「To unite into one system or whole」、つまり、いくつかのものを1つにまとめるという意味である。単語の成り立ちは「con - sol -i - date」であり、「solo」と同じ語幹を持っていることがわかる。Server Consolidationは、別々に購入したサーバを、仮想化ソフトウェアを使って1台のサーバにまとめることであり、Storage Consolidationは、あちこちに散在しているディスクを、やはり仮想化技術を使用して1つのプールにまとめるといった具合に使われる。この場合、まとめられる対象のサーバ群やストレージ群がお互いに何かを補っているわけではなく、1つにすることで効率化を狙っている。

いってみれば、Integrationは「1 + 1 = 2もしくは3」であり、Consolidationは「1 + 1 = 1」である。全く違う概念であり、「統合」という1つの言葉で表現するのは適当ではない。Consolidationは「集約」とするべきだ。

しかし、おそらく手遅れだ。Consolidationの訳語として「統合」がほぼ定着している。これから「集約」を普及させて行くのは難しいし。もっとも、ほとんどの人はここまで言葉のニュアンスを気にしていないという気もする。翻訳者がきちんと「集約」と訳しても、チェックする発注側のIT業界の人間が「統合」に直してしまうかもしれない。

|

« Cygwinのインストール | トップページ | メール件名のべからず集 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« Cygwinのインストール | トップページ | メール件名のべからず集 »