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2006年10月31日

単数名詞を複数代名詞で受ける文

単数名詞は単数代名詞で受けるのが常識だ。しかし、単数名詞を複数代名詞で受ける文を、ネイティブの書いたメールで見かける。

まず、単数名詞を単数代名詞で受ける、文法的に正しい文例(参考記事1)。ニュースや企業のプレスリリースはほとんど、この用法を守っている。

Today Oracle announced that it would provide the same enterprise class support for Linux as it provides for its database, middleware and applications products.

次に、単数名詞を複数代名詞で受ける実例として、私の上司のアメリカ人VPが書いたメールがある。ユーザ先のトラブルについてのメールで、「They have also seen a problem on their test system」という表現を使っている。theyやtheirが、そのユーザ企業を指している。文法的に正しく書くと、「It has also seen a problem on its test system.」とするべきだろう。単数名詞を複数代名詞で受けている文では、会社(単数名詞)の構成要素である個々人、つまりトラブルに関わっている数人のエンジニアを意識して書いているのだろう。

北添氏のブログのコメント(参考記事2)に出てきた「Everybody have fun tonight」というWang Chungのヒット曲の題名は、単数名詞のeverybodyを複数形の動詞で受けている、ちょっと特殊な用例だ。これは明らかに文法的には間違いだが、次に引用するジーニアス英和辞典の用例解説Iと同じと考えられる。この場合は、everybodyを構成しているひとりひとりが楽しんでいるということを表現したいのだと思う。

(1) [数と性] 常に単数扱い. 呼応する代名詞は,性差に言及しない場合,堅い書き言葉ではhe, he or sheなどを用いるが(→he),それ以外ではthey (their,them) で呼応することが普通になってきている(→they). 特に次のように主語として生じる場合はtheyによる呼応が原則(→anybody):E~ is coming, aren't they? みんな来ますね/“Does ~ like him?”“Yes,they do.”「みんな彼が好きですか」「うん」.

受験英語で勉強してきた日本人は、単数・複数の区別が絶対的と思いがちだ(私もそうだ)。しかし口語英語に限っていうと、区別は意外とあいまいで、書き手・話し手が思い描いている対象物のイメージによって、複数形になったり単数形になったりするようだ。

(参考記事1)
Oracle Announces The Same Enterprise Class Support For Linux As For Its Database
http://www.oracle.com/corporate/press/2006_oct/Oracle-Linux-Program.html

(参考記事2)
英語って素晴らしい(トラパパ@TORAPAPA)
http://blogs.itmedia.co.jp/torapapa/2006/10/post_701e.html

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