プレスリリースのちょっと変わった使い方
企業のプレスリリースといえば、新製品や業績を宣伝するために、Webページに掲載したりマスメディアに配信したりするものだ。その会社にとってよいことばかりが書いてあるのがふつうだが、おおっぴらに認めたくないの内情をうかがうこともできる。
たとえば社長が密かに替わったケース。マイクロソフトやサンマイクロシステムズくらいの大企業になれば、社長交代はきちんとしたプレスリリースを出すくらいのニュースだ。しかし中小の外資系日本法人の場合は、プレスリリースも出ずにひっそりと交代することがある。2005年9月の日本ビジネスオブジェクツがそうだった。日経コンピュータの取材で明らかになったのだが、全く発表はなかった。
日本ビジネスオブジェクツのトップがひそかに交代(2005/09/07)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20050907/220768/
プレスリリースを注意深く読むと、この人事異動がうかがえる。2005年7月5日と2005年9月15日のリリースを読み比べてみよう。冒頭の会社名のあとの括弧書きの中が変わっていることに気がつく。
7月5日
http://japan.businessobjects.com/news/press/press2005/050705.asp
世界をリードするビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションのトッププロバイダである日本ビジネスオブジェクツ株式会社(本社東京都渋谷区恵比寿代表取締役徳末哲一、米国本社:サンノゼ、フランス本社:パリ、NASDAQ 上場)
9月15日
http://japan.businessobjects.com/news/press/press2005/050915.asp
ビジネスインテリジェンス(BI)ソリューションのトッププロバイダである日本ビジネスオブジェクツ株式会社(本社:東京都渋谷区恵比寿、米国本社:サンノゼ、フランス本社:パリ、NASDAQ 上場)
つまり、「代表取締役 徳末哲一」と書けなくなる事情があったということだ。
このほか、新製品発表のコメントを寄せている重役の名前が変わったとか、広報連絡先の名前が変わっていたり単に部署名になっていたりという変化も、その会社で何か体制や方針の変化があったことを表している。
プレスリリースに限らない。書いてあるものを読んで理解するのは誰でもできる。書いていないことは何か、以前と変わったところが何かを注意深く読みとる、つまり行間を読み取る力も、情報戦であるビジネスでは必須スキルだ。
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