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2006年11月 3日

選択肢のコントロールで交渉を有利に進める

会議や商談などで意見を相手に押しつけると、たとえ相手がそれを了承したとしても、実行段階でしこりが残る。「相手に決めさせる」という原則は、ほとんどの人が意識しているはずだ。その際に陥りやすい間違いは、選択肢の提示方法だ。

トランプゲームで自分の手札を全部見せる人はいない。しかし、いざビジネスの場になると、これに等しいことをやっている人が時々いる。すべての選択肢を真っ正直に提示して判断させようとすると、かえって相手は迷ってしまい、決められなくなる。提示した選択肢がこちらに不利になる場合もある。

間違いの原因は3種類ある。1つめは、できるだけ多くの情報を与えるのが顧客に喜ばれると思いこんでいるから。もちろんその原則は正しい。しかし、ボランティアで知識を提供しているわけではない。ビジネスは戦いの場であり、情報戦と言っていい。多くの情報を持っている方が戦いを制する。顧客が満足するに必要十分な情報だけを提示し、それ以外は隠し持っておく。これが賢い戦い方だ。

2つめは、単に知ったかぶりをしたいだけの場合。こんなことがあった。ホームページを見た人から製品説明の依頼があり、営業と2人で訪問することになった。用意した資料を使って私が説明を始めようとすると、「ちょっといいですか」と営業が口をはさんできた。そして、「競合製品にはA社やB社がありますよね。A社はこういうところが弱点で・・・」と、独演会が15分くらい続いた。相手がどんな製品を検討してきたかを聞きもせず、こちらの特長をひとことも説明しないうちにだ。競争相手が少ない方が商談は有利だ。それなのに、相手が知らない製品をわざわざ教えて、こちらに不利になるようにし向けているに等しい。行きの電車の中で「製品紹介はあなたに任せます」と言っていたにもかかわらずこれだから、おそらくその営業氏は、知っていることをしゃべらずにはいられないタイプなのだろう。

3つめの間違いは、相手の思考を先読みしすぎて、不利な情報を与えてしまうパターン。頭の回転が速い人が陥りがちだ。メールのやりとりを少なくしようとし、かつ、相手の考えていることをきちんと理解しているとアピールしたいがために、相手の反応を予想し、それに対する回答もあらかじめ与えてしまう。

たとえばテニスの試合では、数ショット先を読んでショットを選択する。相手のバックハンドにこのスピードで打ち込むと、相手は走りながら苦しい状態で返球するから、緩いボールがこのへんに返ってくるはず。それをフォアハンドの空いたコートに返せばよい、という具合だ。こういう作戦を大声で相手に教えているようなものだ。

その予想が当たっていれば、「この人はできる」という高い評価を得られるが、一歩間違うとドツボにはまる。先回りして与えた回答に対して新たな質問を受け、本題を見失い、物事が先に進まなくなる。

交渉がこちらが有利に進むよう、選択肢や情報を意図的にコントロールするべきである。こちらに不利な選択肢を提示するバカは論外として、相手の要求事項・嗜好・判断基準などを事前に十分ヒアリングして、それに沿った選択肢を選別するべきだ。相手が知っている情報と知らない情報をうまく聞き出し、競争を難しくしないように、与える情報を取捨選択することを心がけたい。難しく考えることはない。たとえ話に出したように、みんなが子どものころから親しんできたトランプといっしょだ。

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