読書メモ:「これからの日本に役立つ! "ガイジン"流コミュニケーション」
アルクの広告パンフレット「学びカタログ春号2007」に載っている関橋英作氏のインタビュー記事。関橋氏は外資系広告会社JWTのクリエイティブコンサルタントで、「ある日、ボスがガイジンになったら!?」の著者。
「英語で何より大切なのはコミュニケーションスタイルを理解すること」。このコミュニケーションスタイルとして関橋氏が例示しているのが、(1)物事を曖昧にしておきたがる日本人に外国人がフラストレーションを感じるケース、(2)日本人がよく使い外国人に評判の悪いフレーズ「日本は違う」、そして(3)欧米人の超ポジティブな考え方"Can-do"精神の3つ。
(1)は、「島国で何千年もいっしょに暮らしてきた日本人」と、「国の形がしょっちゅう変わってきた歴史を持つ欧米人」の文化的背景の違い。「イエス・ノーをはっきりさせ、自分が言いたいことを主張して闘う」欧米人とコミュニケーションするためには、日本人が好む曖昧さを意識的に排除するべき。
(2)は、私もつい使いたくなる。もちろん文化の違いを理解しなければならないが、違いを強調するだけでは物事は先に進まないと関橋氏は主張。
まず、ゴールを共有していることを確認し、その上で、ゴール到達のための、別のアプローチを提案する。日本人は細かい差異にこだわりがちですが、それは不信感を高めるだけ。ゴールを共有していることがはっきりすれば、こちらの話に耳を傾けてくれますよ。
もっとも、その細かい差異へのこだわりが、日本の工業製品の過剰とも言える品質を支えてきたというプラスの側面を忘れるわけにはいかない。「小異を捨てて大同につく」と「微に入り細をうがつ」。この2つのバランスを取る意識が欠かせない。
できそうもないことをやろうというのが(3)の"Can-do"精神。「"Can-do"とは"できる"というより、"やろうと思わなければ何もごともできない"という考え方」。「日本だとできなければ"失敗"だからできるかできないかにこだわり、"不可能だ"と言う」。これが「ガイジンにはネガティブに映る」。単純化しすぎるかもしれないが、減点方式の学校教育やテストがその背景にあるのは、当たらずといえども遠からずだろう。
「失敗は成功の元」「雨降って地固まる」。日本の学校教育でもこういう言葉は言い習わされているから、失敗が取り戻せないものでないことはわかってはいるはず。それを社会で実践できないのは、学校教育だけでなく、大人全員の責任だろう。多少の失敗を大目に見て、褒めて伸ばすことが必要だ。
関橋氏が薦めるコミュニケーション力向上策が、外国人との英語コミュニケーション。ハードルの高い外国人とのコミュニケーションで訓練すれば、日本人同士でのコミュニケーションも向上するはず。そして究極の策が外資系企業への転職。
実力主義の外資系企業で頑張れば、コミュニケーション力はつくし、英語も習得でき、おまけに出世もついてきて、一石三鳥になるかもしれませんよ。
出世できるかどうかは英語以外の実力も必要だから、一石三鳥のくだりは少々大げさだ。しかし、それを割り引いても、外資系企業で外国人とのコミュニケーションを日常的に行えば、日本人とのコミュニケーション力向上に役立つという意見には賛成だ。外資系企業でも、日本人としか相手にしない職種やポジションだと、日本企業で働いているのと変わらない。海外の人間と頻繁に関われる部門を目指す必要がある。
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