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2008年7月の4件の記事

2008年7月20日

社会と会社の中央集権主義と分権主義

http://ascii.jp/elem/000/000/151/151210/index-4.html

野口悠紀雄が、遠藤諭(アスキー総合研究所所長)との対談でこう語っている。アメリカの経済システムは市場中心の分権的な仕組みで、日本は中央集権的。ITの歴史は中央集権(メインフレーム)から分散処理(クライアントサーバシステム)への転換だった。従って、分散処理のアメリカとITは相性がよい。そして未だに中央集権的な日本は、最新のIT技術をうまく活用できない。

社会についてはこの通りかもしれないが、会社(企業)については全く逆であろう。アメリカのIT企業に身を置いている自分には、「日経コンピュータ」2008.6.15号で山下徹(NTTデータ )が語った次の違いがしっくり来る。

日本企業は総じてITを使うのに慣れている。特に現場レベルでは世界屈指の水準。しかし 一方で、日本企業ではITで効果を出しにくい。「現場主義」や「改善」と言った日本企業に特有の強みが、ITにとってはマイナスに働いているのではないか。ITは「改革」に向くが、「改善」は苦手。本当にITの効果を出すなら、BPRのような「改革」が必要。

アメリカ企業では、経営層が決めた方針に従って、会社全体が一気に変化を起こす。その変化についていけない社員は会社を去り、新しい方針に賛同するものが新しく参加する。そして、そういった大きな変化を起こすためにITが積極的に活用される。会社の基幹システムのように中央集権的な部分が大きく変更される。ERPによる全体最適などはその好例だ。

日本企業では、ドラスティックな改革はあまり好まれない。改善や改良レベルの小さな変化が積み重なり、徐々に方針が変わっていく。そして、そういった改善や改良は、現場の意見を十分に吸い上げ、現場の同意を得つつ実行されるのが常だろう。いきおい部分最適が多くなる。

この違いの背景にあるイデオロギーの違いが、「プレジデント」2005.7.4号の「市場原理主義が日本で根付かないもう一つの理由」で伊丹敬之(一橋大学大学院商学科教授)が指摘した「所属と参加」である。

アメリカは、国家成立の経緯から「参加」が基本的なイデオロギーだった。現在でも移民が世界中からアメリカに「参加」しに来る。当然、企業へも「参加」しているという意識が強く、報酬や方針などの面でその企業への参加が報われなければ退出すればよいと考える。

これに対して日本の基本イデオロギーは「所属」である。生まれたときから日本という国家に「所属」している。企業にも所属している。日本人は会社に「就職」するのではなく、「就社」すると揶揄されることがあるが、これも所属イデオロギーを別の言葉で言い表している。そして会社への所属が最優先であるから、それを阻害しない小さな変化の積み重ねで会社をよい方向に変えていこうとする。

したがって、アメリカをお手本としてITを活用しようとしても、いまのままではうまくいかない。我々自身が考え方を変えるか、所属イデオロギーに適合するITの活用方法を編み出すしかないだろう。

(参考記事)
日本のITは20年間進化していない──野口悠紀雄が語る
http://ascii.jp/elem/000/000/151/151210/

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2008年7月17日

Firefox 3.0.1以降に対応したTab Mix Plus

作者ホームページのTab Mix Plus(Dev版)は、最新のビルドでもFirefox 3.0.0までしか対応してない。Firefox 3.0.1以降にインストールする手順は以下の通り。ただしこれは自己責任でやること。参考にしたのは、Firefox Add-onsのレビューにJason Limが投稿した記事である。

(1) Tab Mix Plusの最新版(tab_mix_plus-0.3.6.1.080416.xpi)をダウンロード。

(2) Explzhなどで展開。

(3) install.rdfの以下の箇所をテキストエディタで修正。
em:maxVersion="3.0"" → em:maxVersion="3.1""
em:version="0.3.6.1.080416" → em:version="0.3.6.1.080416R"

(4) ZIP書庫に圧縮。拡張子をxpiにする。

(5) Firefoxのウインドウにドラッグ&ドロップしてインストール。

修正済みのファイルを公開している人がいる。人様のパッケージに勝手に手を加えて公開するのがいいのかという懸念があるし、そのほかの修正が加えられていないかということも気になる。簡単なので自分でやった方が安心だ。もし何か問題が起きてもあきらめがつく。


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2008年7月 2日

ジョブアサインの判断の軸

上司として自分のチームメンバーに仕事を割り振る(ジョブアサインする)時は、行き当たりばったりになったり、思いつきで割り振ってメンバーのモチベーションを下げないように、判断の軸、判断基準が必要だ。原理・原則といっても良い。

私が軸としているのは、いまのところ次の3点である。

・その人にしかできないタスクか、ほかの誰かでもできるタスクか
・その人の成長に寄与するタスクか、特に苦労せずに簡単に片付けられるタスクか
・そのタスクをアサインすることによって節約できる作業工数と、そのタスクを実行することでできなくなるタスクによる損失のバランス

必ずしも、その人の成長に寄与するタスクのみをアサインするべしというわけではない。もちろん、そういったタスクでチャレンジングなもの、そして本人がやる気を出しているのであれば、どんどんアサインして伸ばしていくチャンスだ。しかし場合によっては、既存のスキルの範囲でできるものをアサインしたほうがいいという判断もあり得る。その人が熟練している作業であって、かつ期限がきわめてタイトな場合などだ。

協力会社に依頼するタスクの一部を社内で実施すれば、支払いを節約できると考える人がいる。しかし、社内要員の作業量が増えるため、残業代が余計にかかったり、元々やる予定だった作業が遅れることによる機会損失などでコストが発生する。見えるコストと見えないコストを十分に見極めなければならない。

チームメンバーのジョブアサインだけでなく、自分自身へのジョブアサインでも、同じ判断の軸を持つように心がけたいところだ。マネージャ職でない人たちにとっては、将来チームを持ったときに備えての予行演習にもなる。「ひとつ上の視点を持つ」わけである。

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2008年7月 1日

GMarksとサードパーティCookie

Firefox 3のブックマークはGMarks経由でGoogleウェブ履歴に保存している。これで、自宅でも会社でも同じブックマークを使える。

Firefox 3は、「サードパーティのCookieも保存する」というチェックボックスが追加された。サードパーティCookieすべてが悪いというわけではないが、中には利用者のWeb巡回履歴をトラックし、広告表示などに活用しようという物もある。これをプライバシー上の問題と考える人は、サードパーティクッキーを無効にする。

GMarksは、サードパーティCookieが無効になっていると、エラーダイアログが表示され、ブックマークを保存できない。これを回避するには、Cookieの例外サイトにgoogle.co.jpとgoogle.comを追加しておけばよい。どちらか一方で十分かもしれない。これは「Security Now!」のEpisode #150 Listener Feedback #44で、Foxmarksの同様の問題の解決策として取り上げられていたテクニックだ。

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