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2008年11月20日

「ハートで感じる英文法」(大西泰斗、ポール・マクベイ)

だいぶ前の雑誌「DIME」で読んだ著者大西氏のインタビューが面白かったので買っておいたのに、ずっと積ん読になっていた。ようやく読み始めて、すぐにもっと早く読めばよかったと後悔した。面白い。

これまでの英語教育では、単語や熟語の様々な用例を教え込んできた。私も英文メールを書くときに、辞書で用例を確認する習慣ができている。このメソッドの弱点は、膨大な数の用例を覚えなければいけないことである。大西氏は、最も大切なのは言葉が持つ本質的な意味、「基本イメージ」を理解することであると説く。様々な用例は基本イメージの影にすぎないのである。本質を捕らえよというこの考え方は、原理・原則アプローチにも通じる。物事の本質や行動の原理をしっかり押さえてさえいれば、あとはその応用で様々なことに対処できるのである。

基本イメージを表現する言葉が実に慎重に選ばれている。例えば現在完了は「迫ってくる」、定冠詞theは「ひとつに決まる」といった具合だ。イラストもよくできていて、過去形は「遠く離れた情景」ということを示すイラストにはなるほどと感心した。

進行形の基本イメージは、活動・行為が行われている真っ最中という「躍動感」。マクドナルドのCMキャッチコピーの「I'm loving it」は、平均的な日本の英語学習者には非常に違和感のある表現だ。このlovingは単に「愛している・好きである」という意味ではなく、何か活動や・行為が行われている場面を想起させるということになる。おそらく、マクドナルドのハンバーガやドリンクをむしゃむしゃ食べたりごくごく飲んだり、あるいは一緒にいる友だちと楽しくおしゃべりしたりして楽しもうというメッセージが込められているのだろう。

同じく進行形にするのがためらわれる動詞がhaveである。しかし「I'm having a problem」という表現は海外のユーザや社内のエンジニアが書いた英文によく出てくる。単に「問題が出ている」というのではなく、その問題を解決しようとしてあれこれ試していという意味合いを含んでいると、この本で解説している。なるほど、トラブルで切羽詰まった状況が見えてくるようだ。

これまで相当な量の英語をインプットしたので、この本で挙げられた「基本イメージ」のうちいくつかはなんとなく知っていた。しかしもっと早く読んでいれば、ずっと効率的に、かつ多くの基本イメージが身についただろう。明日からすぐにメールやチャットに応用できる。自分が伝えたい細かいニュアンスを伝えるのに役立ちそうだ。

(本ブログの関連記事)

「前から限定、後ろから説明」がネイティブの感覚
http://raven.air-nifty.com/night/2009/01/post-90ff.html


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