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2008年12月18日

一次情報に当たる

小寺信良氏が、一部の新聞記者は一次情報を自ら確認せず、別の報道をもとに記事を書くと苦言を呈している。

比較するのはおかしいかもしれないけど、コラム書きの僕でも、合っても居ない人の拾ってきた発言を「記事の中心に据えて書く」なんてことはしないよ。ジャーナリストなら、自分で一次ソースに当たってコメント貰ってくるってのが、当たり前なんじゃないの?

「新聞記者の記事が、それでいいの?」より
http://blogmag.ascii.jp/kodera/2008/10/09225650.html

ビジネスの場でも、一次情報に当たることは非常に重要である。話者の主観に基づく細部の誇張・割愛はざらにある。人は自分の都合のいいようにしか話を聞かない傾向があるから、情報が一部欠落したり歪曲していたりすることもある。

話者のボキャブラリ不足が原因の場合もある。例えばこの文章の最初で「小寺氏が苦言を呈している」と書いた。このほかには「懸念を示している」という表現も使えるだろう。ところが、こういった表現を使いこなせない人は、「腹を立てている」「怒っている」という直截な表現に安易に飛びついてしまう。「苦言を呈する」と「腹を立てる」では、読み手の受ける印象は大きく異なる。私が読むかぎり、小寺氏は腹を立ててはいないと思うのだが、いかがだろうか。

ユーザ先でトラブルが起きているときは、「大騒ぎになっている」「クレームがすごい」「製品を突っ返すと言っている」などという刺激的な表現の連絡を受けることがよくある。もちろん、業務に少なからぬ影響が出ているのだろうが、代理店や営業担当者が中間に入っている場合は特に、話に尾ヒレが何枚も付いている可能性がある。トラブル対応の優先度を上げてもらおうとして、意図してか、あるいは無意識のうちにか、誇張した表現を使っているのだろう。私自身もそうしたくなる衝動に駆られることはあるから理解できる。

それでも、どこかで状況を客観的に冷静に把握しなければいけない。トラブルが大きければ大きいほど、慌てず騒がす、冷静に対処するようにしている。アメリカの本社にエスカレーションするときは、なおさら具体的に話をする必要がある。クレームがすごいというのは、具体的には何件くらいのクレームが来ているのか(問題の発生頻度はどのくらいか)。製品を突っ返すというのは、本当にユーザが言った言葉なのか。ほかの製品にリプレースすることも考えなければならないという可能性を示唆しただけではないのか。

一番いいのは、一次情報にあたること。つまりユーザに直接話を聞くことである。ベンダーを連れてこいと言っているのであれば、願ったりかなったりである。喜んでユーザを訪問して、本当の温度を測るようにしている。もしユーザと直接会話できない場合は、具体的な数字を中間に入っている人に聞き出すなど、客観的に判断できる情報を集めるように心がけている。

トラブルシューティング事態も一次情報が非常に大切だ。サポートエンジニアなら誰でも心がけていることだと思うが、ログやエラーメッセージで現象を確認する。再現手順をステップバイステップで確認するなど、客観的な情報を積み上げていくことが解決の第一歩である。ユーザや代理店が言ったことを、証拠を集めながら検証していくわけである。人の言うことを100%信用してはいけないと言っても言いすぎではないだろう。人は自分の都合のいいようにしか物事を見ないし、自分に都合の悪いことは自ら進んで言わないのだから。

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