T. D. ミントン「ここがおかしい日本人の英文法」
大西とマクベイの「ハートで感じる」シリーズを先に読んだほうがいいだろう。この本は解説がちょっと高度でわかりにくいかもしれない。しかし、「ハートで感じる」シリーズで取り上げないような高度で微妙なニュアンスの表現も出てくる。仕事の内容によっては、こういった表現が必要になってくるだろう。特に政治的交渉を行うマネージャ以上のクラスは、意識して身につけておくべきであろう。
前書きでミントンが書いているのが、「言語感覚」に基づく直感力は文法知識に勝るということ。言語感覚を身につけるには、長期間にわたって大量の英語に晒される必要がある。全くその通りで、1日30分の勉強で英語が身につくという広告をよく新聞や雑誌の広告で見かけるが、そんなことはありえない。
24ページ
現在形はいつでも成り立つ状況に使う。出来事や動作には使えない。現在進行形は一時的に成り立つ状況に使う。
33ページ
一般論を展開するときは名詞の複数形を使う。不定冠詞を使うか複数形を使うか悩むことがあるが、定冠詞aには「1つの」という意味が含まれる。一般論は複数の集合に対して言及するのだから「an elephant is big」ではなく「elephants are big」とする。
40ページ
定冠詞theはとにかく唯一のものを表す。関係代名詞で修飾されているからという理由でtheを付けたくなることがあるが、関係代名詞での修飾の有無とtheを使うかaを使うかは無関係。それぞれ別の意味になる。the man you can rely onは、信頼できる人が世の中にその人ただひとりと言うこと。a man you can rely onは、何人かいる信頼できる人のうちのあるひとりという意味。
44ページ
過去形 + already。ネイティブも使う表現だが、いい加減な物言いに聞こえる。通常は現在完了形とともにalreadyを使い、もっと長くかかると思っていたのに、もう完了してしまったと言うことを表す。
46ページ
現在完了形は現在とのつながりを感じさせる。過去形は既に終わってしまったこと。大西とマクベイは現在完了形を「「迫ってくる」,過去形を「離れている」と表現した。
54ページ
「最近」を表すのはlatelyよりrecentlyの方が安全。実際、recentlyのほうが多く使われる。latelyは、近い過去から現在まで延びているような期間を表す用法しかなく、現在完了形でのみ使われる。さらにたいていの場合否定文と疑問文で使われる。muchやa lotと一緒であれば肯定文でも使われる。
57ページ
justはexactlyよりonlyの意味で使われることが多い。
61ページ
現在完了形は行為が終わっていることに焦点があり、現在完了進行形は行為そのものや、その行為がどのくらい長く続いているかに焦点がある。
68ページ
過去の出来事を順番に並べて述べるときは、すべて過去形を使う。大過去を表す過去完了形は使わない。
86ページ
命令形は所詮命令形。pleaseをつけようがwouldなどを付けようが、本質的に丁寧な表現ではない。
87ページ
日本語の否定疑問文は丁寧さを増す表現であるが、英語ではそうならない。日本語の「~ではないでしょうか」「~してくれませんか」を英語の否定疑問文で書くのはやめたほうがいい。失礼なニュアンスになり得るので要注意。使わない方が無難である。
たとえば「Will you~」はもともと丁寧な依頼ではないし、その否定疑問文「Won't you~」も同じ(16ページ)。「Can you~」は友人に何かを頼む場合に使われる表現である。目上の人やビジネスシーンで使ってはいけない。たとえ友人であっても「Can't you~」は、やってもらえるはずと思っていることをまだやってくれていないのでイライラを表現するときや、一度断られた依頼を別の形に変えて依頼するときに使うものなので、普通の依頼のときに使ってはいけない(87ページ)。
92ページ
許可を求めるときは「May I~」がもっとも安全。友人なら「Can I~」でもよい。possiblyを付け加えると丁寧度が上がる。
98ページ
「Don't you mind~」に対して許可を与える場合はNoで答える。しかしネイティブもNoと言うことに居心地の悪さを感じている。そこで何かを付け加える。Not at allやAll rightなど。
110ページ
mustは、それが必要だと個人に感じていること。have toは客観的事実。迷ったらhave toを使う。
138ページ
「know 人/場所」は、その人を実際に知っていたり、その場所を実際に訪れたことがある場合のみに使える。そうでない場合は、know the nameやhave heard ofを使う。know ofは古めかしく響く。
141ページ
使役表現
let。相手はやりたいと思っているが、自分はやって欲しくないと思っていること。
make。相手はやりたくないと思っているが、自分はやって欲しいと思っていること。
have。相手がやってくれると期待できる権利がある場合。
got <ものごと> done。やり遂げるのに時間がかかること。gotには動作のニュアンスがある。
146ページ
keep ~ing。必ずしもcontinue ~ing/to doとイコールではない。短い動作、そしてどちらかというとイライラさせることをを繰り返し行うこと。keep laughingは、ずっと笑っているわけではない。断続的に笑っていること。
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