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2009年10月 8日

日本の輸出規制と該非判定パラメータシート

前回の記事では、アメリカの輸出規制で使われる略語、とくにECCNについて書いた。この記事では「該非判定パラメータシート」について説明する。なおリンク先の内容が、法改正などで執筆時と変わっているものがあるので注意してもらいたい。

■該非判定パラメータシート

「該非判定パラメータシート」は、日本の輸出規制に照らし合わせて、当該製品が輸出規制品に該当するか非該当であるかを判定するためのチェックシートである。たとえば、高速電子計算機をテロ支援国に輸出してしまうと、高性能ミサイルや核反応炉の設計を支援してしまいかねない。これを防ぐのが輸出規制の目的のひとつである。

輸出規制品目に該当するものは輸出できないと誤解している人をたまに見かける。輸出規制は、輸出するものが規制品目に該当しているかどうかを明確にし、輸出先が適切であるかどうかを確認・管理するものである。たとえば輸出規制品目に該当する高度技術でも、アメリカに輸出する場合は特に問題なく許可が下りるだろう(注)。同じものを北朝鮮に輸出する場合は不許可となる可能性が大だ。

このような誤解のため、「非該当」になるようにパラメータシートを記入してしまう人もいるようだ。パラメータシートは製品の技術仕様を記入するものだから、正確に書かなければ虚偽申告になってしまう。

パラメータシートを書けるのは製品仕様に精通した技術者である。法務担当者は書き方のアドバイスをしてくれるかもしれないが、内容は技術部門もしくはプロダクトマネジメント部門が書くことになるだろう。法務部門では書けない内容である。

(注)アメリカに輸出するときに許可が不要というわけではないことに注意。許可が不要な特例を除き、輸出には当局の許可が必要である。特例は法令で定めてあり、特例に該当するかどうかを判定する様式がパラメータシートにある。

■ECCNの品目

さて、アメリカの本社からECCNは既に手に入っているとする。ECCNに該当する品目は「The Commerce Control List」のSupplement No. 1に書いてある。たとえばネットワーク機器のECCNが5A991bだとする。最初の桁「5」がカテゴリ番号である。

Category 5 (Part 1) - Telecommunications(U.S. Government Printing Office)
http://www.access.gpo.gov/bis/ear/pdf/ccl5-pt1.pdf

カテゴリ5は「TELECOMMUNICATIONS AND “INFORMATION SECURITY”」(通信と”情報セキュリティ”)。5A991は「Telecommunication equipment, not controlled by 5A001」(通信装置であって、5A001 で規制されないもの)である。5A991bの「b」は5A991のb項であり、次のように書いてある。

Telecommunication transmission equipment and systems, and specially designed components and accessories therefor, having any of the following characteristics, functions or features:
伝送通信装置及びシステム、並びにこれらのために特別に設計した部分品及び付属品であって、次のいずれかの特性、機能又は特徴を有するもの:

(注)翻訳はhttp://www009.upp.so-net.ne.jp/kgm1_ear/から引用

■日本の法令

上で調べたECCNが日本の法令で何に該当するかを調べる。IT機器はおおむね次のページの「8 コンピュータ」か「9 通信関連」に入っている。

輸出貿易管理令別表第1(Cグループ)(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/kanri/sinsa-unyo/gaihihanntei-tejyun/yusyutsu-betsu1/y7-15.htm

5A991bは次の分類に該当する。

別表第一の項9(1)
輸出許可品目名:伝送通信装置
省令:8条一、8条二

(注)「別表第一」「省令」については別途説明する。

■該非判定パラメータシート

パラメータシートは財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)が販売している。上で調べた輸出許可品目に対応するパラメータシートを購入する。「8 コンピュータ」は「パラメータシート<コンピュータ>」を、「9 通信関連」は「パラメータシート<通信・情報セキュリティ>」を使う。

書籍・出版物(CISTEC)
http://www.cistec.or.jp/publication/index.html

ようやくパラメータシートまでたどり着いた。このあとは製品仕様を調べて、それぞれの項目にチェックマーク(レもしくは×)を付けていく。カタログで分からない仕様がほとんどである。本社の開発部署やプロダクトマネージャから頑張って聞き出すしかない。

(関連ページ)

EARのダウンロードページ(U.S. Government Printing Office)
http://www.access.gpo.gov/bis/ear/ear_data.html

経済産業省・安全保障貿易管理ホームページ
http://www.meti.go.jp/policy/anpo/

財団法人安全保障貿易情報センター(CISTEC)
http://www.cistec.or.jp/

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