カテゴリー「日本語・英語・ことば」の56件の記事

2010年2月15日

山形大学が"文章の基礎"を必修に

2010年2月10日放送のフジテレビ「めざましテレビ」で、山形大学が"文章の基礎"を必修セミナーに指定したことを報じていた。日本文学専攻・山本陽史教授に電話で話を聞き、セミナーのテキスト「なせば成る」の一部を映像で見せていた。

学生が書いた論文に「~しちゃう」「なにげに」「まじで」「やばい」等の話し言葉が使われている。それは読書不足が原因だろう。書き言葉との区別が付いていない。書き言葉の硬い文章を敬遠しているようだと山本教授は話していた。

番組で紹介していた文章の7原則は次の通りだ。

1. ひとつの文は30~40字。ひとつの文にひとつのことだけを書く。「が」「けれども」を安易に使わない。
2. 主語・述語、修飾語・被修飾語は近づける。
3. 複数ある修飾語は長いものを先に。
4. 意味的につながりやすい語と語は分離する。
5. 多義な語、曖昧な表現は避ける。
6. 読点「、」はなるべく少なくする。
7. 話し言葉を持ち込まない。

そのほかに、授業ノートの取り方や、インターネットでの情報収集で陥りやすい誤りなどもセミナーで教えている。

読書不足、特に硬い文章に慣れていないというのは、たぶんその通りなのだろう。しかし、この7原則がきちんと身についていないのは、今の若者だけではない。1の「が」の用法や2・3・4は、本多勝一「日本語の作文技術」に出てくる。文の長さについては、木下是雄「理科系の作文技術」に「仕事の文章は、短く、短くと心がけて書くべきである」とある。本多氏の流儀にならうと6はあまりよいガイドラインではないが、読点について意識することは重要だ。

「日本語の作文技術」は1976年、「理科系の作文技術」は1981年の出版。30年以上も前である。つまりそのころから書き言葉の文章をきちんと書けない人が多く、こういった書籍を出す意味があったことを意味する。そしてその状況は今でも変わっていない。私がふだん目にするビジネス文書(メールや報告書)にも、2・3・4・6に関して問題のあるものがよくある。

授業ノートの取り方は、一見するとこんなことまで大学で教えるのかと怪訝に思うかもしれないが、私はいい取り組みだと思う。山形大学のセミナーでは、コーネル大学が開発した「コーネル・メソッド」に言及している。こういった学ぶための技術は、もっと体系的に教えるようにしたほうがよい。先人の編み出した技術の上に新しい技術を積み重ねることで、さらに高いところへ到達できる。

できれば、その技術で効果的に学べるのはなぜかという本質まで掘り下げた方がよいだろう。そうしないと単なる小手先のテクニックに終わってしまい、応用が利かない。山本教授が言ったように、一方的に教えられるのではなく、自分で調整していろいろなことを身につけることが大切である。

The Cornell Note-taking System(コーネル大学Learning Strategies Center)
http://lsc.sas.cornell.edu/Sidebars/Study_Skills_Resources/cornellsystem.pdf

Study Skills Resources(コーネル大学Learning Strategies Center)
http://lsc.sas.cornell.edu/Sidebars/Study_Skills_Resources/SKResources.html

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2009年11月 9日

品質の「作り込み」と「bake in」

品質に厳しい日本のIT企業、とくにサーバベンダーでは、「品質は作り込むものである」という言い方をよくする。テストのような後工程で問題を検出して対処するのでは遅すぎる、設計時から品質を考慮しておく必要があるという意味である。これによく似たニュアンスの言葉をポッドキャスト「Security Now!」で耳にした。「bake in」である。

セキュリティホールが見つかったら、それが悪用されないうちにパッチを作ってリリースするというやり方はうまくいかないしコストがかかりすぎる。最初からシステムの中にセキュリティを設計しなければいけないというBruce Schneierのブログ記事に対して、Steve Gibsonがこう言っている。

Steve: So from his standpoint, he sees what we experience from the outside, which is that security is still not being baked in. Security is an afterthought.

この「bake in」は、パンやクッキーの生地にチョコやナッツを練り込んで焼くというニュアンスだろうか。まさに「作り込む」と同じ意味合いで使われている。

Security Now! Episode #219  Badly Broken Browsing
http://www.grc.com/sn/sn-220.pdf

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2009年9月14日

「ご説明します」の「ご」は謙譲語である

このブログで結構アクセスの多い記事のひとつが2006年に書いた「『させていただきます』の普及と敬意低減の法則」である。その中で、プレゼンなどでよく聞く「ご説明させていただきます」は過剰に敬語を使っている、「ご説明します」でよいと書いた。ところが「自分の行動に『ご』付けてどうすんだよ」と、Rという人のコメントでアホと言われてしまった。これは私が何か大きな間違いをしでかしているのではないかと心配になり、あらためて調べた。

まず私のPCにインストールした広辞苑第五版を読んだ。第六版も見ておきたいところであるが、あいにく手元にない。

自分の行為を表す語に冠して謙譲の意を添える。「―説明いたします」

いかに権威のある広辞苑とはいえ、ひとつの辞典だけで判断するのは危険なので、「大辞泉」をYahooで検索してみた。

その下に「する」「いたします」「もうしあげる」「いただく」「ねがう」などの語を添えた形で、謙譲の意を表し、その動作の及ぶ相手を敬う。「―連れする」「―書きいたします」「―話しもうしあげる」「―引き取りいただく」「―取り下げねがう」

念には念を入れて「大辞林第二版」をExciteで検索してみた。

行為の及ぶ他人を敬って、自分の行為をへりくだっていう。
「―案内申しあげる」「―招待いたします」「―紹介する」

このように「御(ご)」には謙譲の意味があり、「ご説明します」は全く問題ない。自分がそれほどアホではないことが分かり、ひと安心である。改めて調べ直す機会を与えてくれたR氏に感謝申し上げたい。

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2009年7月 3日

legitimate

legitimateという単語を見聞きすることがときどきある。新しい言葉は、インプットするだけではなかなか身につかないので、アウトプットしてみよう。用例をいくつか拾ってみた。

ファームウェアやOSがハードエラーを誤検出することがある。誤検出は「false alert」あるいは「false positive」という。ウイルスの誤検出も同様である。反対に、どう考えても正真正銘のハードウェアエラーであるときは「legitimate」を使うとよい。以下は同僚のハードウェアエンジニアが書いたメールの一部である。

This looks like a legitimate memory issue.  I think this DIMM needs to be replaced.

legitimateの用法には、「まっとうな」「合法的な」という意味もある。以下の例文では、Webサイトへ悪意をもって送られた大量のリクエストによって、本来処理すべきリクエスト(legitimate incoming traffic)が処理できなくなることについて述べている。

somebody basically sends so many requests to your - phony requests, but requests - to your website that you spend all your bandwidth trying to handle them and can't handle legitimate incoming traffic.

最後の例文は、送信元IPアドレスを偽装したパケットなのか、正しく送られたパケットなのかを簡単には識別できないということについての話である。後者のことをlegitimate packetと言っている。right packetでもcorrect packetも、この文脈にはそぐわないだろう。

STEVE:  Ah, well, now, that's another good point, is the other thing that these packets are doing is that they're spoofing their source IP.  When a legitimate packet comes to a server or to an end-user, it identifies who sent it, that is, by IP address, and what its destination is.  The destination IP gets it to you.  The source IP is the IP to which you send the return traffic.  So the packet has to have both.  In these denial of service attacks, the source IP is being randomized on purpose so that you really don't know if it's legitimate or not.

(参考記事)
Security Now! Episode #8
http://www.grc.com/sn/sn-008.txt

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2009年4月25日

映画の中の使えるセリフ(部下の褒め方編)

ピアース・ブロスナン主演の007第2作「トゥモロー・ネバー・ダイ」は、彼の4つの007映画のうち一番好きな作品だ。この映画でボンドが戦うのは、世界中のメディアや企業を牛耳るエリオット・カーヴァー。頭は切れるが、ちょっとイカレている。国家間の紛争を影でお膳立てし、それをいち早く報道することで莫大な利益を得ている。さらに中国でクーデターを起こして現政府を転覆させ、反乱軍のリーダーから今後100年の独占放送権を獲得するという野望をも抱いている。

カーヴァーが、世界各地での悪事の報告をビデオカンファレンスで部下から聞くシーン。「Good morning, my golden retrievers」と呼びかけつつ部屋に入ってきたエリオットが、壁面の巨大なスクリーンを前に、手に持ったリモコン端末をスタイラスでせわしくタップしながら、次々と報告を聞いていく。パキスタンで暴動、カリフォルニアで飛行機事故というニュースに「Excellent!」。そしてエリオットの指示どおりにバグを満載した新しいソフトウェアがリリース予定で、ユーザはすぐにアップグレードを強いられるだろうという報告に「Outstanding!」。outstandingは、他のものから飛び抜けて優れているという意味である。エリオットの「Oustanding!」は、「アーウトスタンディング」と「ア」にアクセントを置き、いやみったらしく延ばす発音で、耳にこびりついて離れない。

部下の失敗を叱責するのは時代遅れで、よいところを褒めて成長させるのがいいリーダーの条件とされている。外国人のチームを率いて週次ミーティングで活動報告を受けるようなことがあったら、「Good job」や「Excellent」、「Great」などとともに「Outstanding」も使ってみようと思っているのだが、元ネタが元ネタだけに、「このリーダー、イカレてんじゃないの?」と思われるのがオチかもしれない。

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2009年3月 4日

映画の中の使えるセリフ(レディーファースト編)

欧米ではレディーファーストが常識で、男性がドアを開けて女性を先に通すことになっている。しかし私は日本での癖が抜けず、つい自分が先に出て(もちろんドアをおさえて待っているが)、妻に白い目で見られることがしばしばだ。

007ジェームズ・ボンドは紳士の国イギリスの諜報機関MI-6に所属しているから、もちろんレディーファーストを確実に実行している。たとえば、ピアース・ブロスナン主演の第1作「ゴールデンアイ」の37:15付近、ボンドとマネーペニーがMI-6の作戦室に入るシーンで、「After you, Moneypenny」というセリフが出てくる。

相手が女性以外の場面もある。ソ連の化学兵器工場に潜入したボンドが、先に忍び込んでいた006のアレックと落ち合って一緒に行動を起こすときに、「After you, 006」とアレックを先に行かせる場面が出てくる。

「You first」という言い回しも出てくる。犯罪組織ヤヌスの一員となったアレックとその一味のオナトップが倒れている列車に乗りこんだボンド。AK47の銃口をアレックに向けて「You first」。そしてオナトップに「You second」。まずアレックを始末し、次がオナトップの番という意味だ。ここまで来ると、レディーファーストとだいぶ雰囲気が違ってくる(1:28:40付近)。

2003年ころ、ロンドン郊外のスラウ(Slough)という街に出張して、新製品のトレーニングクラスに参加した。講師が質問がないかと促すので手を挙げたら、中国から来ているエンジニアも同時に手を挙げた。そのとき反射的に「You first」と言う言葉が口から出たのには自分でも驚いた。「ゴールデンアイ」を見たあとで、列車のシーンが記憶に残っていたせいだろう。

しかし注意深く見ていくと、「After you」「You first」のもうひとつの意味が見えてくる。

ソフィー・マルソーが汚れ役を演じたと話題になった「ワールド・イズ・ノット・イナフ」。元KGB諜報員のズコフスキーは、いまではカジノなどを経営するビジネスマンだ。自分ではカタギと言っているが、怪しげなことをやっているのは明らかで、カジノの従業員は全員、服の下に銃を忍ばせている。元KGBでテロリストのレナードの情報を聞き出そうとズコフスキーのカジノに単身乗りこんだボンドを、ズコフスキーの手下が薄ら笑いを浮かべながら「Ater you」と先に部屋に入るように促す。しかしボンドは毅然とした表情で「After you」。そして銃口を手下の背中に押しつけながら「I insist」(43:40付近)。

一番最初に書いた「ゴールデンアイ」のシーンでは、「After you, Monneypenny」のあとに、マネーペニーが「No, I insist... You first」とやんわり断るやりとりが続く。これらの場面の「After you」なり「You first」は、相手に敬意を払っているのではなく、主導権はこちらにあるんだと暗にほのめかしているのだろう。

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2009年2月27日

映画の中の使えるセリフ(スタバでの注文編)

高校を卒業して九州を離れるまで、実家の近くや通学経路にファーストフード店なるハイカラなものは無く、部活動が終わったあとは、高校の近くのラーメン屋に行くのが普通だった。

仙台の大学に入って数年して、マクドナルドやミスタードーナツが街の中心部にできた。東北新幹線開通ともに、一気に都会化が進んだころだ。しかしどうやって注文するのかよく分からないので敬遠していた。飲み会か何かの帰りに友だちと一緒にミスドに入ったのがはじめてだった。

都会生活が十分長くなったいまでは、ファーストフード店に尻込みすることはない。しかし、スタバは苦手だった。中をうかがうと、なにやらたくさんメニューがあって、しかもカタカナで書いてある。フラペチーノって何? しかもおしゃれな女性がたくさんいる。レジでもたもたしていると、白い目で見られそうだ。

トム・ハンクスとメグ・ライアンの映画「ユー・ガット・メール」を見たのは、ヒアリングマラソン1000時間のために、映画館やDVDで洋画を浴びるように見ていたときだ。その冒頭、トム・ハンクスが出勤途中にスタバに寄ってカプチーノを注文するシーンがある。これだ。これを真似すればいいんだ。そのセリフを完璧に覚えた。そしてスタバに行った。

「カプチーノ、トール」

無事注文できてほっとした。

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2009年1月22日

列車の停車駅はwillか現在形か

先日、西武池袋線に乗ったとき、次のような車内アナウンスが流れた。

Next stop after Nerima will be Oizumi Gakuen.

この電車は通勤準急で、練馬駅の次は大泉学園駅に停車する。問題は「will」を使うのが正しいかどうかだ。

「ハートで感じる英文法」によると、willの基本イメージは「意志」である。何かをするという話者の意志。そしてそこから派生して、話者が十分な確信を持っている未来の事柄がwillの本質である。「It will rain tomorrow.」は、明日はかなりの確率で雨が降ると確信していることを表す。

列車の停車駅は発車時に既に決まっているから、「Next stop after Nerima will be Oizumi Gakuen.」では不自然。現在形を使うべきではないだろうか。現在形が表す未来は、「事実と考えられるほど確かな未来」である(大西・マクベイ「ハートで感じる英文法」より)。

Next stop after Nerima is Oizumi Gakuen.

もしかすると、人身事故などの不測の事態によって大泉学園の手前で止まることも予想されるから、それも考慮してwillなのかもしれない。どういう意図なのかは、この文を作った人に聞くしかない。

JRやほかの私鉄の車内アナウンスがどんな言い回しを使っているかを調べると面白そうだ。サンノゼ出張のときは、サンフランシスコ国際空港の空港内シャトル列車で車内アナウンスを聞く機会がある。これまで聞き流していたが、今度行ったときは助動詞の使い方に注意して聞いてみよう。

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2009年1月21日

英語は「前から限定、後ろから説明」がネイティブの感覚

「英語は後ろから訳しなさい」と高校あたりで習った覚えがある。たとえば、

This is the house where I was born.

という例文では、「where I was born」を先に訳し、次に「the house」を訳して、「これは、私が生まれた家です」となる。至極もっともな教え方だし、自然な日本語にするならこうせざるを得ない。しかしこれに縛られていて、英作文で苦労することになっているのではないだろうか。「ハートで感じる英文法」3部作を読んでそう考えるようになった。

このシリーズは目から鱗がぼろぼろ落ちるほど面白かった。特に重要なポイントは、英語は配置のことばであり、並べることで説明する、そして「前から限定、後ろから説明」という原則である。これらの原則をもとにすると、「左から右に文章を作る」というネイティブが当たり前にやっていることができるようになる。左から右に文章を作るのは、後ろから訳すという英文読解テクニックとまるっきり逆である。

上の例文をネイティブ的発想で作ると、こういうことになる。まず「This is the house」という骨格の文ができる。定冠詞theを使っているのは、いま見ている家にスポットライトを当てて、ほかの家と区別しているからだ。ネイティブの頭の中では、まずひとつのものにスポットライトを当てるためにtheが思い浮かび、そこにhouseという単語をはめ込む。これは「前から限定」の原則である。the houseだけでは情報が不足しているので、どんな家かということを「where I was born」というwhere節で「後ろから説明」する。

あるレベル以上の英語学習者が悩むのが、関係節で修飾された名詞に不定冠詞(a/an)を付けるべきか、定冠詞theを付けるべきかである。ここで犯しがちな間違いは、関係節で限定されているのでtheを付けるという考え方だろう。上の例文は確かにそうなっているようにも見える。しかし本質は異なる。theを使っているのは、いま見ている(もしくは話題にしている)houseにスポットライトを当てて「前から限定」するためである。このことは、次の2つの例文を対比することで理解できるだろう。

This is a house where I lived.
This is the house where I lived.

生まれてからいままでに何回か引っ越している人なら、住んだ家は複数ある。その複数の家のうちのひとつということを「前から限定」するために不定冠詞aをつかう。二番目のtheを使った例文は、その人が一度も引っ越していないということを意味していて、その唯一の家にスポットライトを当てるためにtheを使っている。「後ろから説明」している語句の有無とは別の原則で「前から限定」するために冠詞を使い分けるのである。

そもそも「名詞に冠詞が付く」という発想が間違いの元である。マーク・ピーターセンが「日本人の英語」で次のように書いている。冠詞は名詞の添え物ではない。ネイティブの頭には、まず冠詞が浮かび、それに名詞が付く。

ネイティブ・スピーカーにとって、「名詞にaをつける」という表現は無意味である。

英語で話すとき --- ものを書くときも、考えるときも --- 先行して意味的カテゴリーを決めるのは名詞ではなく、aの有無である。そのカテゴリーに適切な名詞が選ばれるのはその次である。もし「つける」で表現すれば、「aに名詞をつける」としかいいようがない。「名詞にaをつける」という考え方は、実際には英語の世界には存在しないからである。

(本ブログの関連記事)
「ハートで感じる英文法」(大西泰斗、ポール・マクベイ)
http://raven.air-nifty.com/night/2008/11/post-7ee3.html




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2008年12月13日

T. D. ミントン「ここがおかしい日本人の英文法」

大西とマクベイの「ハートで感じる」シリーズを先に読んだほうがいいだろう。この本は解説がちょっと高度でわかりにくいかもしれない。しかし、「ハートで感じる」シリーズで取り上げないような高度で微妙なニュアンスの表現も出てくる。仕事の内容によっては、こういった表現が必要になってくるだろう。特に政治的交渉を行うマネージャ以上のクラスは、意識して身につけておくべきであろう。

前書きでミントンが書いているのが、「言語感覚」に基づく直感力は文法知識に勝るということ。言語感覚を身につけるには、長期間にわたって大量の英語に晒される必要がある。全くその通りで、1日30分の勉強で英語が身につくという広告をよく新聞や雑誌の広告で見かけるが、そんなことはありえない。

24ページ
現在形はいつでも成り立つ状況に使う。出来事や動作には使えない。現在進行形は一時的に成り立つ状況に使う。

33ページ
一般論を展開するときは名詞の複数形を使う。不定冠詞を使うか複数形を使うか悩むことがあるが、定冠詞aには「1つの」という意味が含まれる。一般論は複数の集合に対して言及するのだから「an elephant is big」ではなく「elephants are big」とする。

40ページ
定冠詞theはとにかく唯一のものを表す。関係代名詞で修飾されているからという理由でtheを付けたくなることがあるが、関係代名詞での修飾の有無とtheを使うかaを使うかは無関係。それぞれ別の意味になる。the man you can rely onは、信頼できる人が世の中にその人ただひとりと言うこと。a man you can rely onは、何人かいる信頼できる人のうちのあるひとりという意味。

44ページ
過去形 + already。ネイティブも使う表現だが、いい加減な物言いに聞こえる。通常は現在完了形とともにalreadyを使い、もっと長くかかると思っていたのに、もう完了してしまったと言うことを表す。

46ページ
現在完了形は現在とのつながりを感じさせる。過去形は既に終わってしまったこと。大西とマクベイは現在完了形を「「迫ってくる」,過去形を「離れている」と表現した。

54ページ
「最近」を表すのはlatelyよりrecentlyの方が安全。実際、recentlyのほうが多く使われる。latelyは、近い過去から現在まで延びているような期間を表す用法しかなく、現在完了形でのみ使われる。さらにたいていの場合否定文と疑問文で使われる。muchやa lotと一緒であれば肯定文でも使われる。

57ページ
justはexactlyよりonlyの意味で使われることが多い。

61ページ
現在完了形は行為が終わっていることに焦点があり、現在完了進行形は行為そのものや、その行為がどのくらい長く続いているかに焦点がある。

68ページ
過去の出来事を順番に並べて述べるときは、すべて過去形を使う。大過去を表す過去完了形は使わない。

86ページ
命令形は所詮命令形。pleaseをつけようがwouldなどを付けようが、本質的に丁寧な表現ではない。

87ページ
日本語の否定疑問文は丁寧さを増す表現であるが、英語ではそうならない。日本語の「~ではないでしょうか」「~してくれませんか」を英語の否定疑問文で書くのはやめたほうがいい。失礼なニュアンスになり得るので要注意。使わない方が無難である。

たとえば「Will you~」はもともと丁寧な依頼ではないし、その否定疑問文「Won't you~」も同じ(16ページ)。「Can you~」は友人に何かを頼む場合に使われる表現である。目上の人やビジネスシーンで使ってはいけない。たとえ友人であっても「Can't you~」は、やってもらえるはずと思っていることをまだやってくれていないのでイライラを表現するときや、一度断られた依頼を別の形に変えて依頼するときに使うものなので、普通の依頼のときに使ってはいけない(87ページ)。

92ページ
許可を求めるときは「May I~」がもっとも安全。友人なら「Can I~」でもよい。possiblyを付け加えると丁寧度が上がる。

98ページ
「Don't you mind~」に対して許可を与える場合はNoで答える。しかしネイティブもNoと言うことに居心地の悪さを感じている。そこで何かを付け加える。Not at allやAll rightなど。

110ページ
mustは、それが必要だと個人に感じていること。have toは客観的事実。迷ったらhave toを使う。

138ページ
「know 人/場所」は、その人を実際に知っていたり、その場所を実際に訪れたことがある場合のみに使える。そうでない場合は、know the nameやhave heard ofを使う。know ofは古めかしく響く。

141ページ
使役表現
let。相手はやりたいと思っているが、自分はやって欲しくないと思っていること。
make。相手はやりたくないと思っているが、自分はやって欲しいと思っていること。
have。相手がやってくれると期待できる権利がある場合。
got <ものごと> done。やり遂げるのに時間がかかること。gotには動作のニュアンスがある。

146ページ
keep ~ing。必ずしもcontinue ~ing/to doとイコールではない。短い動作、そしてどちらかというとイライラさせることをを繰り返し行うこと。keep laughingは、ずっと笑っているわけではない。断続的に笑っていること。


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