カテゴリー「日記・コラム・つぶやき」の58件の記事

2011年5月11日

浜岡原発の停止「要請」

浜岡原発の停止要請について池田信夫氏が、「法的根拠のない要請(事実上の命令)を首相が公然と行なうのは言語道断」であり、「こんな水戸黄門の印籠みたいなやり方は、法治国家では通らない」と噛みついていた(注1)。この要請がどういうものかを調べてみた。

読売新聞によると、今回の要請は「行政指導」である(注2)。行政指導は行政手続法によって規定されていて、条文を私が読んだ限りでは、それに沿って行われたようだ。実際の「要請」は経済産業大臣名で出されている(注3)。文面に「指導」という文言が見えないので、本当に行政指導なのか判断できないが、読売報道の通りだとすると、手続について違法性はない。原発を止めるという内容も、地震や津波が起きれば大きな被害が出かねないという状況と、東海地震の発生がかなりの確率で懸念されるということを考え合わせると、十分に合理的である。

行政指導には強制力がないから、それを受諾するかどうかは中部電力が独自に判断すればよい。原発を止めることによって燃料コストが上がり、営業赤字に陥り、株主に訴えられるかも知れないが、それはまた別の問題である。世の中の空気が脱原発に大きく傾いていて、行政指導を拒否するのが非常に難しく、半ば強制であるという声も見かけるが、それもまた別の問題であろう。しかし法学者の玉井克哉氏は強制の契機の存在を問題視しているから、この部分には賛否両論ありそうだ。

強制的に停止を命じる法的根拠がないので行政指導にしたのならば、なぜ「要請」などという非法律的用語を持ち出さず、「これこれこういう理由に基づき、このような協議を経て、経済産業大臣が行政指導を行いました」ときちんと説明しないのだろう。「内閣総理大臣が(経済産業大臣を通じて)要請した」(注4)と言うから、原子力に対する職務権限がない者(総理大臣)が、法律的根拠のないことを密室での議論で決めて、半ば強制的に中部電力に依頼したと非難される。自民党政権時代に批判された「行政指導」に対するネガティブな印象を避けるため、あえて「要請」という言葉を使ったとすると、それは印象操作でしかない。

それに、浜岡停止を「要請」するなら、東日本大震災から約2ヶ月も経った5月中旬ではなく、富士宮地震が起きた3月15日にやるべきだった。富士宮での震度6強の地震が起きたときは、「すわ、東海地震か」「浜岡は大丈夫か」というツイートがTwitterに溢れた。Googleリアルタイム検索で「浜岡」のトレンドを見ると、3月15日23時頃に大きなスパイクがあるのが分かる。震源が一気に西に移動した、日本列島の地殻バランスが崩れ、このままだと東海地震を誘発してしまうんじゃないかと、私も本当に不安だった。連休中に菅首相が緊急記者会見を開いて要請を発表したときは、何をいまさらという思いだった。

(注1)
中部電力は法的根拠のない「要請」に屈服するな(アゴラ)
http://agora-web.jp/archives/1322893.html

(注2)
官邸、極秘協議1か月…法的根拠なく行政指導(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110510-OYT1T00140.htm

 6日午後4時半過ぎ、菅首相が首相官邸の執務室に、海江田経済産業相、原発担当の細野豪志首相補佐官、枝野官房長官、仙谷官房副長官らを呼んだ。

 4月上旬から1か月にわたり、「浜岡原発停止」を極秘裏に検討してきた中核メンバーだ。

 前日の5日に浜岡原発を視察した海江田、細野両氏の報告を受け、首相の心は既に決まっていた。問題は、定期検査中の3号機のみならず、稼働中の4、5号機についても停止を求める法的根拠だった。

 弁護士出身の枝野氏らが、その場で原子炉等規制法などの関連法や政令のページをたぐった。「やはり条文をどう読んでも、法的に停止を指示することは出来ない。行政指導で、中部電力に自主的な協力を求めるしかない」。異論を唱える者はいなかった。

(注3)
浜岡原子力発電所の津波に対する防護対策の確実な実施とそれまでの間の運転の停止について(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110506006/20110506006.html

(注4)
【浜岡原発停止要請・菅総理の記者会見全文紹介】(NHKかぶんブログ)
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/100/81095.html

(参考記事)

闘うコンプライアンス-中部電力VS経産省(菅首相?)(ビジネス法務の部屋)
http://yamaguchi-law-office.way-nifty.com/weblog/2011/05/post-ccf2.html

「要請」は行政指導か?(法窓小話)
http://d.hatena.ne.jp/concordantia/20110508/1304832469

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2009年12月29日

私的2010年五大ITニュース

私の身の回り限定でIT関連五大ニュースをリストアップしてみる。

第5位 メモにITを使わなくなった

メモを取るのにデジタル機器を使わなくなった。以前は携帯からGmailに送ったり、プライベートモードのはてなダイアリに書き込んだり、紙copiに書いてiPAQとTomboで同期したりしていたが、私の入力スピードでは思い付くアイディアを書き留めるのに追いつかない。ロディアにボールペンで走り書きしたほうがよほど効率的だ。

ロディアは一時的なメモである。そこからブログに書いたり、いったんノートに書き写して残しておいたりする。ノートに書いたものは日付と見出しでインデックスをテキストファイルに書き出しておく。これは奥野宣之「情報は1冊のノートにまとめなさい」のアイディアだ(関連記事)。このあたりからITツールを使い出すが、最初のメモはあくまで紙とペンである。

第4位 アウディA3 Sportsback 1.4TFSI

プジョー306からアウディA3 Sportsback 1.4TFSIに乗り換えた。オンボードコンピュータとHDDナビゲーションシステムが搭載されたアウディA3は立派なIT機器である。プジョー306に比べて格段に増えた機能をまだ使いこなせていない。

306は満タン給油時の走行距離をメモしてExcelで燃費を計算していた。満タン給油はクルマが重くなってエコじゃないので、最近は20リッター上限にしている。オンボードコンピュータならこれでも燃費が分かる。

第3位 iPhone

パソコン中毒気味の私にiPhoneは火に油を注ぐようなもの。あるいはきちがいに刃物かもしれない。日本の携帯サービスに依存せず、FlickrやGoogleなどの海外Webサービスをよく使っていたから、iPhoneへのスイッチは非常に効果があった。おサイフケータイは便利だったが、無ければ無いでなんとかなるもの。以前はこんなサービスは影も形もなかったのだから、Nice to haveである。

第2位 Twitter

 Twitterに登録したのが2008年8月。最初は携帯からモバツイッターで利用していたが、いまはiPhoneだ。iPhoneを使い出してからツイートの数が急増している。Twilogでカウントすると、2009年9月に160だった月間ツイートが12月は534。書き込んだもの有効利用できないだろうか。

第1位 会社買収と転籍

 1位の私的ITニュースは、会社が買収されて、買収先に転籍したことに間違いない。サブプライム問題による不況のあおりを食って会社業績は悪化し、2009年は給与削減で幕を開けた。ベンチャー企業の目標は2つ。株式上場(IPO)か事業売却だ。株式市場が冷え込んでIPOの目が無くなった会社は、どこかに買ってもらうしかない。買い手がなければ精算ということになる。

買収が決まったのが夏。自分のポジションがどうなるかはオファーレターが出てくるまで分からない。所属部署は私や上司を含めて全員転籍できたが、他部署には辞めさせられたり自分から辞めていった者もいる。

もうひとつよかったのは、会社買収につきものの製品終息(つまり開発打ち切り)がないこと。これまで見聞きしたり自分で経験した会社買収の中でベストの買収と言える。いまは新しい会社への業務やシステムの統合でごたごたしているが、職を失うのに比べればよほどマシだ。

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2007年3月 5日

世の中に違いを作っているか

トラディオ・プラマンという筆記具がある。ペン先が独特な、ぺんてるの水性ペン。万年筆のようなペン先だが、素材はサインペンと同じ。気軽に使え、日本語のトメやハライを表現できる面白い筆記具だ。

プラマンを知ったのは、このブログの記事をある人に引用していただいたのがきっかけ。アクセス履歴からその人のブログを訪れ、そこでプラマンの記事を読んだ。その後、ほかのメディアでもその人のプラマン話を読むことがあり、気になって仕方がなくなり、自分でも使うようになった。

その方が2月28日に急逝されたとのこと。ブログに2月28日のエントリーがあり、本当に急なことだったのがうかがえる。

メールを交わしたこともないし、もちろん会ったこともない。アクセス履歴を見なければ、知ることもなかった。それだけの、ネットだけの関係。しかし少なくとも、私の生活に違いをもたらしてくれた。その方と関わらなければ、トラディオ・プラマンが自分の関心のフックに引っかかることはなかっただろう。

この世の中になにか違いを作れることを自分はしているのだろうか。そういうことを考えさせられる。

ご冥福をお祈りします。

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2006年12月24日

さようなら、サンノゼ直行便

200603sjc
アメリカン航空の成田~サンノゼ直行便、AA128便とAA129便が運休になった。10月中旬に出張した同僚はこれを使ったが、いまはAA.comの予約に出てこない。燃料費の高騰などで収益が圧迫されているためらしい。私が本社に行くときもこれを使っていたが、次回からサンフランシスコ便にしなければならない。せっかく覚えたサンノゼ空港からの道も、もう一度覚え直しだ。

8月の出張から帰るとき、サンノゼ空港の待合いロビーにあったのが、写真のポスター。15周年でその役目をとりあえず終えることになった。インテルや日本のサーバベンダーなどのIT企業の技術者が、この便に乗って太平洋を往復していたのだろう。日本のIT業界の発展を陰で支えていたのは間違いない。

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2006年4月 9日

ロジクールのコードレスマウス MX-610

ロジクールのコードレス マウスMX-610を買った。私のまわりには、マイクロソフトのワイヤレスマウスを使っている人が多い。それなのに私がロジクールを選んだのには理由がある。ThinkPadで使うには、ロジクールでなければならないのだ。

ThinkPad T42は、UltraNav(ウルトラナビ)というポインティングデバイスを装備している。UltraNavは、ThinkPad伝統のトラックポイントと、最近のノートPCで主流のタッチパッドの両方を組み合わせたもので、好みや目的によって2種類のデバイスを使い分けることができる。

たとえば、マウスカーソルを一気に大きく動かすときはトラックポイント、微妙に動かすときはタッチパッドが向いている。さらにUltraNavのタッチパッドは、パッドの右端をなぞると上下スクロール、下端で左右スクロールができる。トラックポイントでも中央ボタンを押しながらスティックを動かせば上下左右スクロールできるのだが、スティックと中央ボタンを同時に操作するために、指を2本を使わなければいけない。タッチパッドの方が楽だ。

非常に便利なUltraNavだが、残念ながら最新の外付けマウスにはおよばない。机でばりばりと仕事をするときは、よい外付けマウスを使いたい。

キーボードと同じく、マウスも凝り出すときりがない。これまでいろいろなマウスを使ってきて、ここ2年は、知人にもらったロジクールのコードレスマウスMX-700を使っていた。その当時の最高級マウスだが、欠点は少々重いことと、付属のマウスソフトMouseWareがノートPC付属のマウスソフトと共存できないことだ。

MX-700は充電池を内蔵しているため重量がかさみ、動きが鈍くなる。有線マウスに比べて、マウスを動かし始めるときに力を入れなければいけない。クルマにたとえると、エンジンが同じなら軽いクルマの方がスタートダッシュに強いのと同じ理屈だ。この問題は、エアーパッドプロとエアーパッドソールを組み合わせて使うことで解決。この組み合わせ(究極セットIII)は、エアーホッケー感覚というか、ワックスのきいた廊下を靴下で滑る感覚というか、マウスの動きが別次元である。あまり軽く動きすぎるので、慣れるまでは希望の位置にマウスカーソルを止められなかったくらいだ。

いっぽうMouseWareの問題は深刻である。ThinkPadはもちろん、ほとんどのノートPCには、内蔵ポインティングデバイス用のマウスソフトウェアがインストールされている。ロジクールのMouseWareやマイクロソフトのIntelliPointは、これらのマウスソフトを置き換えてしまい、内蔵ポインティングデバイスの機能を使えなくしてしまうことがある。

MX-700を使っていたときは会社のノートPCを外に持ち出すことがほとんどなく、内蔵ポインティングデバイスを無効にしても問題なかった。しかしいまの会社に移ってから、外出先でThinkPad T42を使う頻度が大幅に増えた。UltraNavの機能を殺すわけにはいかない。せっかくのMX-700はお蔵入りとなり、マウスソフトウェアなしで使えるロジクールのノートブック オプティカル マウス プラスでお茶を濁していた。

そんなときに目にとまったのが、「モバイラーだからこそ徹底してこだわりたい──モバイルワイヤレスマウス新モデル3製品を試す」という記事。ロジクールの新しいマウスソフトウェアSetPointは、ノートPCのマウスソフトウェアと共存できると書いてある。半信半疑でSetPointをダウンロードしてインストールしてみたところ、まさに希望通り。UltraNavのソフトウェアはそのまま残っている。これなら、会社で外付けマウスを使っていても、外出時にはUltraNavの全機能を使える。

さてMX-610は、ボタンの配置・マウスの形状・ボタンのクリック感のどれも文句の付けようがない。本体は剛性感があり、使っていた安心感がある。かちっとしたボタンのクリック感は、人によっては固いと感じるかもしれないが、私の好みに合っている。黒をラインナップしているから、ThinkPadとカラーコーディネートできる。

電池式という点もいまの仕事環境に好都合だ。MX-700やその後継機種MX-1000は充電式で電池代がかからないという利点の裏返しとして、充電台兼ワイヤレスレシーバが必要というのが欠点だ。パソコンのUSBポートとコンセントに接続するケーブルがけっこう邪魔なのだ。厳密にいうと「コードレス」マウスではない。いまのオフィスは自分専用のデスクがなく、大きなテーブルを数人で共用している。テーブルの上に充電台を常設できない。その点、電池式のMX610は電源コードが必要ないし、ワイヤレスレシーバはUSBメモリ形状の小型で、直接USBポートに差し込む形態だ。外に出かける時は自分の道具入れにマウスといっしょに放り込んでおけばよい。

(2007年5月19日追記)
IntelliPoint 6.1をThinkPad T42にインストールしたところ、UltraNavドライバがそのまま使えることがわかった。コントロールパネルの「マウス」に両デバイスの設定タブが共存している。インストール順番が逆の場合にどうなるかは未検証だ。

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2006年3月13日

The TechでセグウェイとIMAX

20060312TheTech1現地時間12日(日)は、サンノゼ市内のThe Tech Museum of Innovation、通称「The Tech」へ。科学技術がテーマの博物館で、IMAXドームシアターがある。今日の上映作品は「Wired to Win」と「Roving Mars」。これを目当てに行ったのだが、セグウェイに乗るという思いがけない経験ができた。

セグウェイ(Segway)は一人乗りの二輪車だ。極秘のうちに開発されたため様々な噂が飛び交い、発表前から話題になっていたことを覚えている人もいるだろう。残念ながら、話題になったほどにはビジネスがうまくいっていないようだ。それだけに、日本で乗る機会にはまずお目にかかれない。それが、今日訪れたThe Techでセグウェイに試乗できるイベントが催されていた。このチャンスを逃す手はない。

20060312TheTech2セグウェイの運転は簡単だ。体を前に傾けると前進、後ろに体重を戻すと後退する。左手のハンドルグリップを回すと左右に曲がる。最初は前後のバランスがうまくとれずにぎくしゃくしたが、すぐに慣れた。その場でくるくる回転したり、S字スラロームしたりと、待っている人がいなければ、いつまでも乗っていたかった。広い場所で乗り回せば、さぞ楽しいだろう。おもちゃに60万円はちょっと高価だが。

さて肝心のIMAXドームシアターは、1時間未満の作品2本で18ドル。それだけの価値は十分あった。通常の映画館では絶対に味わえない臨場感と迫力だ。品川と軽井沢にIMAXシアターがあるが、2ヶ所とも平面スクリーン。今回のような映像体験は味わえないだろう。

2003年ツール・ド・フランスに出場したロードレーサー2名、FDJeux.comチームのJimmy CasparとBaden Cookeを主人公に、人間の脳の働きを解説した作品が、「Wired to Win」である。空撮映像は、自分がヘリコプターに乗って集団を空から追いかけているような錯覚にとらわれる。

もう1本の「Roving Mars」は、NASAの火星探査プロジェクトMars Exploration Rover(MER)のドキュメントで、Walt Disney Picturesの作品だ。このプロジェクトは、2台の探査ロボットSpiritとOpportunityを火星に送り込んだ。発射や着陸のシーンはもちろんCGである。発射シーンは実写カメラの映像と勘違いしてしまったくらいリアルだ。なお着陸シーンの映像は、NASAのWebサイトで見られる。これが、リアルなサウンドとともに巨大な映像で迫ってくるわけだ。

火星からの電波が地球に届くのに8分かかる。Spiritはパラシュートで減速したあと、エアバッグでバウンドしながら着陸のショックを吸収する。Spiritがバウンドした回数は27回。最初の信号が届くのを、ジェット推進研究所のスタッフ全員が固唾をのんで見守る。着陸予定時刻はとうに過ぎている。成功したのか、それとも失敗なのか。そして「We've got signal」という声とともに、司令室全体が歓喜の渦に巻き込まれた。感動的なシーンだ。

20060312TheTech3常設展示も豊富だ。パンフレットによると、体験展示の数は250以上。たとえばインテル創業後にふさわしく、半導体製造装置が展示してある。その動きを子供に説明するインド人らしき父親は、おそらく半導体メーカで働いているのだろう。マイクロプロセッサの論理回路を体験学習するコーナー(右の写真)では、母親が指導していた。この母親もIT関連企業のエンジニアだろう。将来のIT産業を担う世代が育つ環境が整っているようだ。

第2日曜の今日は、AT&TがスポンサーでIMAX以外はすべて無料。週末や休日は、周辺の駐車場も無料。朝10時から午後3時過ぎまでThe Techを堪能してサンノゼをあとにした。

(参考Webサイト)
Wired to Win
http://www.wiredtowinthemovie.com/

Roving Mars
http://disney.go.com/disneypictures/rovingmars/

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2006年3月12日

Intel Museum

20060311Intel1
シリコンバレーの本社に来ている。今回の出張は2週間。週末を挟むので、周辺の観光ができるのがありがたい。現地時間11日(土)の今日はIntel Museum(インテル博物館)に行った。

Intel Museumは、サンタクララのインテル本社敷地内にある。入場は無料。受付でPDAとヘッドホンを貸してくれる。このPDAは無線LANで館内のシステムとつながっており、映像と音声で解説を聞ける。ありがたいのは日本語の音声を選べること。音声解説があると展示物をよりよく理解できるし、いくら仕事で英語に慣れているといっても、日本語の方がよくわかるのは当然だ。まずメニューで、一般コース、製造コース、歴史コースの3つから見学コースを選択する。展示パネルに書いてある番号をクリックすると、解説が流れる。

まず歴史コースを回った。ロバート・ノイス、ゴードン・ムーア、アンディ・グローブの3名が創業したころのエピソードに始まり、世界初のマイクロプロセッサを開発したこと、日米半導体貿易摩擦でDRAMビジネスからの撤退を迫られたことなどが語られる。日米貿易摩擦や、ペンティアムの欠陥で製品を回収・交換する騒ぎになったことなどは、すっかり忘れていた。

製造コースは、マイクロプロセッサを製造する工場(Fab)や製造工程の説明だ。クリーンルームで働く従業員が着用している防塵服を「Bunny Suits」という。1997年頃、カラフルなBunny SuitsのダンサーBunnyPeople(TM)が踊るCMがテレビで流れていたのを覚えている人もいるだろう。なぜ「Bunny」と呼ぶようになったかというエピソードを、インテルの従業員が語っている。ハローウィンで着るウサギの衣装に似ていたからだそうだ。初期の半導体は集積度がさほどでもなかったので、塵をいまほど気にしていなかった。全身を覆う防塵服ではなく、単なるスモックのような簡便なものを着ていたという珍しい写真が展示されている。花柄のものもあったそうだ。

20060311Intel2
子供が楽しめる展示物もある。Bunny Suitsを実際に着ることができるし、半導体や金属の伝導率を自分で確かめるコーナーもある。さらに、巨大なマイクロプロセッサの模型(右の写真)があり、音声による寸劇と模型のイルミネーションで、プロセッサの各モジュールがどのように働いて計算を実行しているかを学べる。すべての動作を司る制御ユニットは、少々高圧的な感じのする女性の声だ。バスコントローラは、ちょっと頑固な職人気質のおじさん風、デコーダは海外訛りのある英語、そしてプリフェッチユニットは元気な子供の声で「急いでよ。制御ユニットが待ってるよ!」とほかのモジュールを急かすなど、結構楽しめる。この動作原理はWebで読むことができる(参考記事)。

20060311Intel3
Intel Museumの入り口近くに、創業35周年記念タイムカプセルが埋められている。ItaniumプロセッサやCentrino、300mmのウエハーなど約100点が納められていて、創業50周年の2018年に開ける予定だ。今後の主力プロセッサは、CentrinoのマイクロプロセッサPentium Mの流れを汲んだ低消費電力のアーキテクチャに基づくことが確定している。ハイエンド市場への進出を狙って開発した戦略的なItaniumと、どちらかというと傍流だったモバイル向けのCentrinoの両方がタイムカプセルに収められているというのは、実に興味深い。

参考記事
How Microprocessors Work
http://www.intel.com/education/mpworks/index.htm

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2006年2月15日

乗っチャリパス

福岡市の地下鉄と駐輪場の共通定期券が「乗っチャリパス」だ。

20060103Hakata1
右の写真は、地下鉄博多駅にあったポスターである。駅の駐輪場に自転車を預け、同じ定期券で改札も通れるという便利なものらしい。駅前の放置自転車対策のためだろう。

20060103Hakata2
このポスターに出てくる女性3名の愛称は「チャリ・エンジェルス」。これが名古屋だったら、スーパーロボット3体を使って「ケッタ・ロボ」と名付けるのだろうか。

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2005年11月23日

コピーワンス論争

コピーワンスで悩んでいるところに、放送・通信関係のコンサルタント西正氏と映像系エンジニア/アナリストの小寺信良氏が書いた記事が目に入った。どちらもITmediaに掲載されたもので、内容が対照的なのが興味深い。私の想像だが、小寺氏の記事は、西氏への反論として書いたものではないだろうか。

「コピーワンス見直し」で留意すべきこと(西正)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0511/10/news062.html

「コピーワンス」大そもそも論(小寺信良)
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0511/21/news003.html

西氏は、コピーワンスは著作権保護のためであり、これを忘れてはならないという立場。これに対して小寺氏は、コピーワンスが著作権保護のためというのは大義名分であり、本質は企業利益を守るためだと主張している。

著作者の権利を保護するべしという西氏の主張はもっともだ。しかし、いきすぎた制限はかえって消費者の反発をうけ、コンテンツ制作者や配布者の不利益となるだろう。

西氏は、

あるいは好き勝手に編集して、好きなタレントのシーンばかりを集めたって構わないではないかという考え方が発想のベースにあるとすると、結果として優良なコンテンツが出てこないことになり、それこそ本末転倒な話になる。

と書いているが、そんなことはない。なぜならラジオからテレビまで、消費者が好き勝手に編集できる状態が数十年も続いているのに、優良なコンテンツはどんどん出てきている。さらに、消費者の好みは千差万別。どんなに優良なコンテンツでも、自分好みに編集したいという欲求は永遠になくならない。さらに、優良なコンテンツであればこそ、編集してでも残しておきたいと考えるはずだ。西氏は何か勘違いしているのではないだろうか。筆足らずかもしれない。

消費者がコンテンツを編集するのは、番組の前後にある余分な解説やCMをカットしたり、個人的な好みにあったコンテンツをまとめたりしたいからだ。そういった編集行為は著作隣接権に抵触するが、個人の楽しみとしてやっているぶんには問題ないだろう。

小寺氏は、CGアーチストというコンテンツ著作者でもある。コンテンツがコピーフリーだと利益を損なう立場にもかかわらず、次のように書いている。

映画でも特許でも、知財ならなんでもそうなのだが、多く利用されなければ、儲からないのだ。 (中略) 1つの漏れなく10個売るのと、1000個ぐらい盗まれるが10億個売れるのと、どちらが資本主義社会としてマシだろう。

実に共感できる意見だ。

ところで、うちにある液晶テレビとCATVセットトップボックスには、装置個体を識別する「B-CASカード」が入っている。デジタル放送を視聴するのに必須のカードなのだが、実はこれを発行しているのが1私企業なのだそうだ。これも含め、どういった企業や団体がデジタル放送やコピーワンスの制度や運用に関わってきたかを解説している小寺氏の記事は、非常におもしろかった。

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2005年11月19日

CPRM対応DVDで悩む

いま住んでいるマンションは送電線の影響で難視聴地域らしく、地上波テレビもCATVで受信している。以前は契約しなくてもGAORAやディスカバリーチャンネルを視聴できていたのだが、ある時からスクランブルがかかるようになった。CATV会社に問い合わせると、機械の都合でスクランブルがかかっていなかったとのこと。これが技術的な問題なのか、それとも設定ミスなのかはわからないが、いずれにせよ視聴するためには契約しなければならない。しかたなく月4000円弱を支払うことにした。

契約すると、視聴可能なチャンネルが格段に増えた。「サインはV」などの昔のドラマから、「Dr.スランプ」といったアニメまで、おもしろそうな番組が目白押し。地上波デジタル放送やハイビジョン放送も受信できる。メジャーリーグ中継をBSアナログとハイビジョンで見比べると、その差は歴然。BSアナログはユニフォームの背番号や名前の文字がぼけ気味なのに、ハイビジョンだとくっきり。月4000円の価値があるかどうかの判断は人によって異なると思うが、私は契約して正解だと思った(というか、思うことにしている)。

めぼしいものは片っ端からDVDレコーダに録画している。しかし見るのが追いつかず、たまる一方だ。DVDにダビングしてハードディスクを空けようとしたところで問題が発生。CATVの番組はデジタル配信であり、CPRMで保護されているコピーワンスのコンテンツだ。したがって、ダビングはハードディスクからDVD-RAMへの一方向のみに制限される。

DVD-RAMメディアは少々値が張る。DVD-Rなら太陽誘電製でも1枚100円強(アマゾンの価格、以下同様)。DVD-RAMは300円強だ。最近出始めたCPRM対応のDVD-Rは1枚200円程度だが、残念ながら私が持っているDVDレコーダー、パナソニックDMR-E87Hで使えないことが判明(注1)

さらに、DVD-RAMにダビング(移動)したものをPCで見られるかどうかがもうひとつの問題だ。ドライブがDVD-RAM対応であることはもちろん、ドライブと再生ソフトの両方がCPRMに対応していなければならない。私のThinkPad T42はDVDマルチドライブ付属モデルで、WinDVD 5がプリインストールされている。まず確実なのは、WinDVDをアップグレードしなければいけないこと。CPRM対応はWinDVD 6からだ。

問題は、付属のDVDドライブがCPRM対応かどうかだ。デバイスマネージャで見ると、松下のUJ-812というドライブを使っているのがわかる。このドライブの仕様やCPRM対応かどうかをネットで調べているが、はっきりしない。富士通LOOXが同じドライブを搭載していてCPRM対応コンテンツを再生できたという体験談を見つけた。その一方で、UJ-812のファームウェアが途中でCPRM対応のためにアップデートされた形跡もある。最終的にはWinDVDをアップグレードしてテストしてみるしかなさそうだ。

テレビはまもなく地上波デジタル放送へ移行する。総務省はコピーワンスの見直しをおこなっていて、年内に結論を出すらしい(注2)。もう少し使い勝手のよい方法に改善してもらいたいものだ。

(注1)
パナソニックのサポート情報
http://panasonic.jp/support/info/dvd_r/dvd_r_cprm.html

(注2)
デジタル放送の「コピーワンス」が運用見直しへ(AV Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20050729/soumu1.htm

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